金庸武侠小説の部屋

このページは金庸氏の小説を紹介しその読者を増やそうと言う趣旨に従って作られている…筈である。

 

 金庸氏についてはこのページを御覧になられるような方ならば逐一解説せずとも良いと思われるので簡単に。

 本名査良縺B1924年浙江省海寧県生まれで1948年香港に移住、半世紀近く当地で生活する。1955年に『書剣恩仇録』を香港にて発表、一躍武侠小説界の雄となる。1959年には自分で新聞「明報」を創刊、以後次々に話題作を紙上で発表、全12作品もの長編と中編2作品、短編1作を書いて70年代には筆を折ってしまうが、最近香港で刊行されている「射G英雄伝」の漫画(絵を書いているのは日本語版表紙でお馴染みの李志清氏)四巻で金庸氏は現在次回作を久しぶりに構想中(歴史小説との事)と語っている。

 邦訳されている氏の作品は全12作品中『書剣恩仇録』『碧血剣』『侠客行』『笑傲江湖』『雪山飛狐』〔全て徳間書店刊行〕の五作品。作品の特徴としては歴史小説の形を借りてそこに架空の人物を登場させ、その激動の波に翻弄させるものが多い。また、主人公がすべからく武功が出来ても精神面で弱いというか女性に対して優柔不断な事が挙げられる(笑)。その人気は中文文化圏で絶大であり、「金学」なる研究書が出版されていたり、映画化、TV化共に多く成されている。が映画、テレビに関しては本人曰く「どれも今一宜しくない」そうである。

 映像化については基本的に氏の作品は長編作品であり映画の限られた時間の中では氏の書きたかった事が伝わらないと言うのが定説ではあるがこれは私が思うに香港電影のあのノリが根本的に氏の作風に合わんのではないのだろうか。つまりは、シリアスであってもギャグを入れずには済めないあの体質が、である。映画のシナリオそのものが現場でころころ変わるのが当たり前の香港電影…広東人の特殊性かもしれないが…は人を選ぶと言うが金庸氏は生粋の広東人ではないが為に合わないとも考えられるのだ。尤も、私個人は「スォーズマン」シリーズや黎明主演の「飛狐外伝」、ユンピョウの「新碧血剣」みたいなのはお気に入りである(『新碧血剣』については原作を読んでからは何とも言えなくなったが)。以上上げた作品は映画と言う枠の中で充分纏りを持っている為である。一方、何が言いたいのかよく判らない「天龍八部」や「イ奇天屠龍記(カンフーカルトマスター魔教教主)」には否定的にならざるを得ない。「書剣恩仇録」の映画は見た事が無いので何とも言えない。天王寺のTSUTAYAにはあるのかしらん。

 断っておくが私は別に広東人の事を悪く言う気は無い。民族的性格が違うと言っているに過ぎない。あのノリに付いて行ける人間もいればそうでない人間もいる。それだけである。

知唔知哦?(『金枝玉葉』の袁詠儀風だとUn唔Un?)

 

作品紹介

『書剣恩仇録』
『碧血剣』
『侠客行』
『笑傲江湖』
『雪山飛狐』
『射G英雄伝』
『連城訣』
『神G侠侶(剣侠)』


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