二百五香港映画
Hong Kong Movies for Bon-Kura

 ここでは香港映画関連のとりとめもないネタを扱います。表題にあります様にまあ、男のボンクラ魂に訴えかける香港映画を紹介するのが目的ですが…。整理されるまでは統制が取れないで…すまんな。

1.ワンチャイの主題歌、『男兒當自強』廣東語バージョンの歌詞
2.金庸の原作『笑傲江湖』を読んだ上で「スォーズマン 女神伝説の章」を観てみる

3.ドニー・イェン主演「精武門」
4.『新少林寺伝説 洪煕官』にみる日本の某劇画の影響


5.林青霞・ユンピョウ主演『六指琴魔』とロンゲの徐錦江
 この作品は元々倪匡(ニー・クワン)という、香港の作家が書いた武侠小説であり、資料を読んだ限りではサスペンス色がかなり強いものらしい。だが、例によって例の如く、エンターテイメント性を追求する香港映画の特性上、サスペンスなどアンドロメダの彼方に吹っ飛んでしまい、林青霞が再び東方不敗に酷似した絶対的に強いキャラクターを演じ観る者を唖然とさせた。彼女の演ずるのは黄雪梅という女性で、伝説のマジックアイテム「天魔琴」をめぐり、武林六大門派の共謀により殺された一族の鬼哭の怨みを果たすべく、当時幼かった少女は16年掛けて天魔琴の能力…其の音波は空を裂き直撃した者は命脈を絶たれると言う。映画での表現は破壊音波の直撃で人体が爆発、四散していた。…を発現させる「天龍音」を習得、両親と弟・麟(成長してユンピョウ)の復讐を開始する。雪梅は復讐を実行する時には東方不敗の衣装に酷似した(色違い)の衣装に身を包み、当時の六大門派の人間を次々に其の魔曲で殺害してゆく。一方、麟は16年前、謎の爺さんに命を拾われ、奇しくも其の友人であり、かつ麟の父母を殺害した一味の一人、呂騰の養子として育てられていた。呂騰は年を取り、金盤洗手(引退の儀式。皆の面前で引退を宣言し金の洗面器(?)で手を洗うというもの。何の冗談かとこの映画を見た当初は思っていたが小説『笑傲江湖』でも劉正風が同じ事をしていた為中国の伝統習慣の一つと察せられる。)の儀式の最後の仕事を受けるが、それこそ六大門派の人間を誘き寄せ、一網打尽にする黄雪梅の計略だったのだ。そして呂騰が受け取った物、其の木箱には「天魔琴」を示す六本指の刻印が施されていた。16年ぶりに江湖に天魔琴が出現した事を知った六大門派の怪人もとい頭目達は、江湖最強のマジックアイテムを入手し覇権を握ろうと一世に行動を始めた。この連中が凄まじく、キョンシー・マスターやら六本指のジジイやら徐錦江やらで構成されていたのである。

 カムコンは東方白という、クールで且つ六大門派で最強の人物を演じていた。彼は自分こそが天魔琴を使いこなせる人間だと驕り、独自で琴から破壊音波を発生させるまでに至ったが、普通の琴では彼の演奏に耐えられず、破壊音波を発生すると同時に琴を破壊してしまう事に苛立ちを覚えていた。黄雪梅との対決で彼は雪梅を追い詰めるが、彼女の手から離れた天魔琴を奪取する事に目を奪われ琴の奪取に成功はしたものの、そこを彼女に付けこまれ首を落とされて落命した。この時のカムコンはヒゲは当然として、ジジイやスキンヘッドではなく、さらさらロンゲの若若しいイメージで演じていた。彼のロンゲは結構似合っていると思うのだが。余談ではあるが向うに居た時には「大刺客」という電視劇が放映されており、それは「史記」他から暗殺事件の主人公ばかりを扱ったアンソロジー的な連続短編ドラマだったのだが、暗殺者が主役と云うだけあり物語の最後は其の殆どにおいてオチは悲惨なものばかりだった。そうしたものの中に、秦の始皇帝暗殺を未遂に終えた荊軻を扱った、其の題もずばり『荊軻』というのがあった。其の主人公荊軻を演じるのがカムコンだったのだ。それが私が徐錦江を初めて認識したドラマだったのだ。その荊軻のカッコ良さと言ったら、この間公開されていた映画「始皇帝暗殺」の張豊毅とは比べ物にならないものだった。当時の私は香港映画に関しては全く知識がなく、徐錦江が一般的にどう云うイメージで知られているかなぞ、毛ほども知らなかった。其の時の徐錦江がロンゲだったので、私にとって徐錦江のイメージは今だにロンゲのカッチョ良いイメージなんだが。

続く

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