養鬼〜Ghost Nursing〜


レイモンド・変身後(徐少強飾)

領銜主演 徐少強 雪梨 メルボーン・ワン 銭月生

粗筋:
 前世からの因縁でやる事なす事旨くいかず、借金取りから逃れる為にタイまでやって来た女・ジャッキー。しかしタイでもスケベ親爺にいい様に弄ばれた彼女は意を決し、友人の伝で現地の呪術師から運を好転させる『鬼仔』という、子供の死霊を貰いうけ、神様として祭る事にした。その霊を祭る事で彼女は死霊の援助を受け、次々と幸運を掴んで行く。しかし、恋人レイモンド(徐少強)を得て舞い上がった彼女は鬼仔の怒りを受け、その現場を見たレイモンドは彼女が悪魔に取りつかれたと考え、友人の悪魔払い師に除霊を要請。ジャッキーの部屋に設けられていた鬼仔の祭壇を破壊してしまう。其の為、怒り狂った鬼仔はレイモンドに乗り移って悪魔払い師を撃破、更にジャッキーを手に掛けようとする。ジャッキーは半狂乱で逃げ回り、どうにか車に乗って逃走に成功するがもはや制御できなくなった鬼仔は彼女の友人まで殺してしまった。彼女はやっとの事で鬼仔を与えてくれた呪術師の助けを受ける事に成功する。しかし…

 徐少強出品のホラー映画。感想を簡単に言えば徐少強が幽霊に取付かれた事にして暴れまわった映画。キョンシーものなどとは全く色を異にし、笑いの要素が殆ど見当たらない(精々ジャッキーの部屋で幽霊(鬼仔)を見てからというもの、一時彼の目前の人間全てが子供に見えるという幻覚に悩ませられる所くらい)辺り、出品人・徐少強らしさが垣間見る事が出来る。いや…鬼仔の御神体の白い蝋人形が気色悪いキューピーみたいで笑わせてくれるか。変に動くし。 映画の冒頭から『養鬼』についての説明が無言のテロップのみで観衆の目の前に突き付けられ、ついには『この物語はそうした『養鬼』に纏わる実話の一つである』と嘯いて、本編が開始される。オープニングでレイモンドの最終形態マスクが徐々に形成されてゆくところがちょっとナイス。この映画での徐少強は善人からハカイダー系の魔人まできっちりとやってくれている。アテレコである事を意識してか、台詞そのものは殆ど無し。この映画の彼の見所は前半における徐少強のハツラツテニスルック・短パン仕様と、怪人フランケルゲ状態(上図参照)、ジャッキーの友人をインテリア用のでっかいフォークで天井に磔にして殺し、その血を啜る所であろう。物語前半で徐少強はベンツを乗りまわすイカした実業家ぶりを見せ付けてくれる。だがその友人は悪魔払い師と云う怪しい人物でもある。彼はひょんなことで再会した(鬼仔のせいだ)ジャッキーと恋仲になり、一緒にテニスをしたり、タコチューではないキスをしたりする。この前半部分で余りにも徐少強が健康的スポーツマンを演じているものだからその分、後半の鬼仔に乗り移られて狂暴化した演技とのギャップが凄い。後半の彼はあの怖い眼でターミネーターの如く無言でどこまでも追いかけてくる。本当に何処までも。呪術師の掛けた魔法により、↑の怪人状態になるのだが、この状態はすぐに術の破壊によって無くなってしまう。結局養鬼は呪術師によって倒されるが、この時点で、もはや救い様の無い暗い展開が観客を襲っているだろう。…徐少強演ずるキャラクターの主なタイプとしては、物語の前半から後半に掛けてその狂気が噴出するキャラクターが挙げられるが、この映画では前半の彼は本当に善人であるが故に余計にそれが感じられる。やっぱりこの人、ああいうのが好きなんだな。

 この作品で徐少強は英語名がノーマン・チュウ Norman Chuである事を主張しているが…特に話があんなんだと余計に合わない。名前だけ聞いていれば何かオシャレ系の俳優の様な印象すら与えてしまう。いや、待てよ。それこそが彼の目論見なのか!

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