1:最初に。徐少強、とは
英名ノーマン・チュウ。香港映画俳優の一人である。『養鬼』の解説を見ると其処には『香港ホラー映画の第一人者』とあるが、今そんな形容は全く無い。彼こそは香港映画界にあってほぼ唯一の日本刀の似合う役者だと断言できる存在だと言えよう。惜しむらくは彼の主演作において日本語訳されているのは「生死决 Duel to the death」邦題『ザ・SFX時代劇妖刀斬首剣』、「義胆紅唇 City War」邦題『非情の街』くらいであり、あまつさえ私の知る限り日本の香港俳優名鑑ではキネマ旬報増刊「中華電影完全データブック」に紹介されている程度と言う事であろう。DVDの『詠春』に拠ると彼は少なくとも過去、亞洲電視のNo.1スターだった事が確認される。一体彼に何が起こったのか?謎は尽きない。
2:徐少強は
生年月日が不明。70年代後期に亞洲電視の俳優養成所から輩出、其れ以後古装片等、功夫片で活躍し始める。主演作としては瘋劫('78)、名剣('80)、地獄無門('80)等。その他、蜀山奇伝天空の剣('83)、チョウ・ユンファのマカオ極道ブルース('87)、タイガー・オン・ザ・ビート('88)、ツイ・ハークTHEマジック・クレーン('93)、レディ・ファイター詠春拳伝説('94)、94年獨臂刀之情('94)等に出演。最近はどちらかと言えば映画よりも香港亞洲電視の連続テレビドラマに出演している事のほうが多い様だ。主な出演作としては『岳飛傳』『劍嘯江湖』『雪花神劍』等。より詳しいフィルモグラフィは英語版のページを参照の事。その理由は漢字作品タイトルが不明である為。判ってりゃこっちにも載せるって。
新作『笑傲江湖』(令狐冲:任賢齋)で向問天を演じる他、2000年2月に香港で公開された劉コ華・鄭伊健主演の映画『決戦・紫禁之巓』にもチョイ役で。
3:徐少強にやらせてみたい(現在邦訳されている中での)武侠小説のキャラクター
岳不羣(金庸:笑傲江湖)…この願いはどうやら永久に叶いそうになさそうだ。だって向問天だもん…
西門吹雪(古龍:陸小鳳伝奇)
蝙蝠公子(古龍:楚留香・蝙蝠伝奇)
田帰農(金庸:雪山飛狐・飛狐外伝)
張召重(金庸:書剣恩仇録)
誰でも良いから『連城訣』の主人公以外
……人格的に碌な奴がいないのはどうしてだろう?
4:徐少強の特徴
徐少強畳返し:
『劍嘯江湖』より。予め地面に畳らしいものを敷いておいて土をかぶせカモフラージュ、然る後に刀を使って持ち上げて相手にぶつけるというもの。画面効果が派手なくせに実際には余り効いてなかった様だ。
徐少強ブロンドヘアー:
『劍嘯江湖』より。彼の演じた爺キャラの中では最高のハンサム度を誇る。必見。
徐少強変な格好:
『龍虎列傳』より。もう余り若くはないのだから変なマントにメッシュのシャツは止めた方が宜しいのでは…
徐少強ヤング大変身:
『神劍萬里追』『K風客棧』『天龍八部』で見掛けられる、最初は爺さんの姿であるものの、何かの拍子に若返る、または昔の姿が画面上に現れると言うもの。最近のお気に入りらしい。尚、『劍嘯江湖』では後にジジイ化するがこれが無茶苦茶カッコ良い。上の写真参照
徐少強ドメスティック・バイオレンス:
『名剣』より。ニコニコとしながらやおら女性の髪を掴んで引っ張り回す。実に似合い過ぎでこれを見た人間は彼の笑顔を信じられなくなる。
徐少強インサニティ:
『野獣たちの挽歌』より。『死んだ…死んだ…(へらへら)』と笑う。あんまり怖くない。
徐少強大作戦:
『群龍奪寶』より。どうも力技に頼る傾向があるようだ。
徐少強自惚れ:
『俺って背が高くて利口で美男子だろ』…『中華道士』より。いいのか、それで。
徐少強大哄笑:
はっはっはっはっはっはっはっはっは!
徐少強アブラスマシ:
『蜀山奇伝 天空の剣』での姿。私に悲鳴を上げさせた凄い格好。
徐少強アイ:
常に何か企んでいるような物憂げな目つき。くわと見開かれる時は既に暴れ始めている。
徐少強アクション:
武打星ではないから若干遅目でも問題なし。しかし日本刀を振るわせると狂気を帯び、八の字切りで突っ込んでくる。そのスピードは程小東監督だと甄子丹のアクションに匹敵する。
徐少強ウェポン:
日本刀、剣、槍、香港K社会ものでよく出る柳葉刀らしいもの、銃。内一番威力が強いのは日本刀。『劍嘯江湖』では小屋すら真っ二つ。
徐少強スマイル:
目一杯頬肉を使い目を細めて笑う。得てしてこの笑みを浮かべる場合、ろくでもない事を企んでいる場合が多い。また、よく見ると目その物は笑っていない事が多い。
徐少強ヒゲ:
『舞廰』での姿。今一つ徐錦江と違って様にならない。『新仙鶴神針』での姿はカッコ良かった。どうやら口髭だけだとバランスが悪い様だ。
徐少強ファッション:
古装物以外では何か奇妙な印象を受ける不思議な着こなし。ヤクザもののせいか。
徐少強ヘアー:
取敢えず長髪にしておいた方がかっこいい。『猛鬼舞廰』『義胆紅唇』でのスポーツ刈りは全くイケてない。どうも後退が進行している様だ。
徐少強ムード:
古装物以外ではそのケレン味故か、何年立っても顔が変らない為か、フィクショナルな臭いがぷんぷんする。宮内洋に近いがレスリーとは別系統。
徐少強漢字ユカタ:
『生死決』で着ていた何だかよく判らないがかっこいい浴衣。英語ページの写真参照。
徐少強ハチマキ:
『生死決』で着けていた『戦』と書かれたハチマキ。英語ページの写真参照。
徐少強ハンチング:
『(石馬)頭』で着けていた灰白色のハンチング帽。胡散臭さ120%アップ。
徐少強空中二段ジャンプ:
『生死決』で見せた大技。空中で刀を抜いて更に踏みつけ、その勢いで更に空高く舞い上がる軽功の秘術。実際は二段どころかそれ以上の跳躍が可能。
徐少強コート:
『'94獨臂刀之情』で着用していた黒いロングコート。雪の振る中日本刀を振り回すその姿は幽玄の粋に達する。
徐少強メガネ:
『タイガー・オン・ザ・ビート』『野獣たちの挽歌』で着用。ヒゲと違ってこっちは似合う。知的さ120%アップ。
徐少強敵愾心:
『劍嘯江湖』『生死决』から。敵に対して変質的な勝負欲を持つ為にハカイダー化してしまう。自分の理想像を相手に押し付け、のっぴきならない事態にまで追い詰めて、「さあ戦え」と迫るので迷惑この上ない。
徐少強コンスピラシー:
基本的には敵の最も嫌がる事を企み、頃合が良くなると自分で手を下しに来る。この時、噛ませ狗を予め使用する事非常に多し。
徐少強ラヴ:
浮気者には死あるのみ。(名剣、義胆紅唇)
徐少強フランケルゲ:
『養鬼』で見せた特殊メイク。何か来るものがある。
徐少強山賊ボス:
『詠春』でみせたとてつもなく爽やかなキャラクター。彼のイメージを良くするのに非常に効果があった。女に勝負に負けたら「ママ」と呼ぼう。でも役名『飛天猩猩』日本語訳の『フライング・チンパンジー』だけは如何なものか。
徐少強『椎茸』:
日本語版『生死決(The SFX時代劇 妖刀・斬首剣)』パッケージの漢字ユカタから。字そのものは違うんだけれど『椎茸』と読まずには居られない。
作品解説