お気に入り孫悦〔Sun Yue〕の歌

まともに聴く大陸歌手の一人。悲しいかな大阪で彼女のCDを見つける事は全くもってない。王菲や那英の様に台湾や香港の会社と契約していないからだろうか。その場合,仮に売っていたとしても大陸での価格(ざっと600円)が四五倍以上に成っているのが予想できるのがいやだが…それは置くとして。99年2月現在において彼女のCDは2枚発売されている(デュエット作品を加えると3枚)。孫悦の作品はカセットテープとしてならば94年から96年まで3作品が出されているがCDとして売られているのはそれらからの精選集「為了這一天」とその次に出た「幸福快車」である。ひょっとすると上海では別の新作が既に出ている可能性もあるがまあ、その時はその時としよう。彼女の歌は大らかでいかにも大陸の歌やなあと思えるほどゆったりした歌謡曲、世に言う中華ポップスの王道であり、また、国民的な歌手とされているお蔭か歌詞中に『中国』の文字が使用された曲が目に付くが、本人曰く「中国の一般の人達に理解され愛される歌」を目指しているのも良く判る。歌詞の内容が恋愛沙汰を題材にしたものではなく友人、家族に対して呼びかけるようなものも多いからである。出稼ぎの為故郷を離れる人間が多い中国では彼女の歌がきっと必要なのだ。家庭や友人の温もりを彷彿とさせる彼女の歌が。

普通話

『祝ィ尓平安(Zhu Ni Ping An)』4:03

 聴く人間の精神状態により歌詞の意味が幾通りにも捉える事の出来る名曲。歌詞の内容はそれこそ要約すれば「お元気ですか 人生色々ありますが私は貴方の平安無事を願っています」となる挨拶文みたいなものだが、其れだけに人によっては別れた恋人に対する想いになったり、遠くの町に去った友人家族を想う歌になったりと色々な印象を与える。本来は友人家族への想いを歌ったものらしいが、私もてっきりこれは別れた恋人を想って悲しくその幸せを願う歌か、離れ離れになって遭う事の罷りならない恋人を想う歌だとばかり思っていた。と云うのも彼女の歌が余りに感情が篭っており、其れほど強い思いを持つ相手が友人家族になるような考えは、私には到底思いも付かなかった。まさに愛しい人を思い出し、今その人が何をしているのかと考えている内に段々感情が高まり泣き出したくなる、そんな歌にしか聞こえなかった。何度も聴き返す内にこの曲の内容が別に恋愛に関わる文が混じっていない事からそうかも知れないと思えるようになったが、未だに自分の中での決着は付いていない。理由?そんな野暮な事は聴くもんじゃあない。中国語をわかる人間なら一回は聴くべきだろう。

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