龍之家族

龍之家族～Dragon Family～

領銜主演　莫少聰　劉德華　譚詠麟　徐少強　鄭則仕　他

　邦題は更に『―復讐・血の掟―』というサブタイトルがつく。配役名簿が見事にカットされており何処かで見た顔がちらほらする（成奎安とか）が、メジャーな連中以外はさっぱり判らなかった。勉強不足を感じさせる一作。香港四大ファミリーの長、龍一族が弟分の白狼達によって壊滅させられ、一族の生き残りである莫少聰、劉德華が譚詠麟と共に、真の黒幕である徐民生こと徐少強のヘロイン工房に殴り込みを掛け、見事本懐を遂げるまでを描いた黒社会暴力皆殺し映画。この作品で使われている演出用小道具はメリハリが利いていて感心させられる。特に使い方として、龍一族の母親殺しと徐少強への止めは見る者を慄然とさせる。物語的には少々詰め込み過ぎの感が否めないが、悪役俳優・徐少強の面目躍如、というに相応しい作品の一つだろう。

　この物語で徐少強は白狼の腹心の部下で、やたらと頭の切れるフィリピン帰りの男・徐民生（日本語字幕ではチョイ）を演じている。このキャラクター、『老虎出更』のインテリヤクザを更に凶悪にしたような人物で、香港に戻ると同時に自分が恐らく長年温めていたのだろう、権力乗っ取り計画を早速実行し始める。彼は組の資金使い込みの為命の期限を切られてしまった男・コウ（高）と組み、先ず龍一族で最もだらしがない、借金まみれの男、イップ（葉）に揺さぶりを掛け、ファミリー内でご禁制（扱った者は始末される程）の麻薬、それもヘロインの販売を唆す。金に困っていた葉は一度だけという名目でその事業に手を出す。しかしそれは龍一族を陥れる為に仕組んだ除と高の罠であり、その情報を嘗てヘロイン販売の咎で身内を殺されている白狼に教えて捕まえさせた。当然白狼は怒り龍の長を呼びつけ、そこで悶着が起こったと見せかけて高に龍の長を殺害させた。龍の長はこの件が何者かによる陰謀で、怒りと復讐の念に囚われれば黒幕の思い通りになる事に気付き、今際に「復習などするな」と告げる。しかし残された彼の息子達は割り切れる者ではないし、ついでに言うと其処まで頭の回る者はいなかった。徐民生は更に白狼に「権力を握るチャンスです」と唆し、彼に葬式の当日、一堂に会した龍一族を皆殺しにする為襲撃を決意させた。葬式の場で起こる阿鼻叫喚の地獄絵図。勝利に沸く白狼に徐民生は勝利を祝う為に抱擁する。しかし、その直後白狼の胸の辺りで数発の銃声が鈍く響いた。彼にとっては白狼も自分の立身の為のコヤシに過ぎなかったのだ。既にこの出入りのドサクサで四大ファミリーは粗壊滅し、自分の前に残る白狼を始末すれば全ては自分のものになる事を彼は誰よりも良く判っていた。流石は徐少強、自分の出世の為には仁義などと云うものは簡単に溝に捨てられる冷酷・残忍な男を見事に演じている。そして、この時に得た財産を使って政治家に立候補までする始末だった。しかし、彼の容易周到な計画も破綻の時が来る。彼は龍一族の母親を焼き殺すまでは良かったが、其の結果、守る者を無くした劉德華と莫少聰は母と言う足枷を無くして完全に復讐一筋に生きる口実を与えてしまった。確かに普通の人間相手ならば、その方法は完全に成功していた筈であった。しかし如何せん、相手は劉德華、譚詠麟、そして莫少聰である。相手が悪かった。しかし除も負けてはいない。高を捕まえ人質にして潜入してきた莫少聰の事を耳にした徐民生は部下の「どうしましょうか？」の問いに間髪いれず『殺せ』と言い切り、同じ部屋にいたヘロイン・バイヤーの外人に『問題はない、さあ、乾杯と行きましょう』と全く何の心配した素振りも見せない。クライマックス、サーベルで莫少聰、劉德華と壮絶に戦った（尤も家の中だからワイヤー・アクションで空を飛ぶまでには到らなかった）彼は、劉德華に腹を切られ、漸く起ち上がった所、莫少聰に自分が龍一族の母を殺させたのと同じ火炎瓶を投げ付けられ、炎に包まれて死ぬ。この映画ではファイヤー・スタントが使われ、本当に生きた人間を燃しているのでインパクトは大きかった。
　今回の徐少強ファッション：黒のスーツにネクタイ無しのヤクザルック。普段着で白のカーディガン姿だったが妙に可愛らしい。髪型は『老虎出更』と似ているがちと髪の毛の後退が目立った。

情報＆資料提供：MEGUMIさん　多謝！

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