お気に入り許美静〔Mavis Hee〕の歌曲

若干呟きがかった歌声は王菲のそれに似ていなくもないが、彼女のそれよりもずっと身近な感じがする。广州にいた時購入した雑誌に王菲に一番似ている歌手として紹介されていたが、本人は全然似てないですと誌上できっぱり否定していた。彼女が『遺憾』でヒットした時には王菲が既に香港・台湾歌謡の王道から既に脱却の構えを見せており、彼女は王菲の後継者?達の一人として注目されていた筈であるが今や完全に独自の路線を確立した様だ。応援してます。

 

普通話

『鐡窗』5:00

アルバム『遺憾』に収録。アルバムに2バージョン収録されている事から本来はこれがタイトル曲になっていたのだろうと推測されるが『遺憾』の方が一般受けが見込める為にそうはならなかったのだろう。歌詞中に「地獄」という単語を混ぜるとは中国語恐るべし。発音がじごくではなくDi Yuという二音節だから出来る芸当なのだが歌詞を見ればギョッとするぞ普通。歌い方が何となくどすが利いていて同アルバムの他の曲に比べ怖い感じがする。タイトルが示す「鐡窗」とは鉄格子の嵌った窓の事で要は牢獄の意味。この歌には地獄といい鐡窗といいおどろおどろしいイメージの単語が印象をいやがうえにも高めているのだ。C拉OK〔カラオケ〕でもインパクトあるのは間違いなかろう…今の所日本のカラオケでこの曲が存在しているなどとは一度も耳にしていないが…。歌の内容は恐らくは一方的に捨てられた女性がこれからどうしていいかわからない状態で居る事を表現している。それが鐡窗と言う表現で顕されているのだ。このアルバムは台湾、香港生産分としては一枚目に当たるが彼女の出身地であるシンガポールでは『明知道』というアルバムが出回っておりその中から二曲再録されている。しかし私が广州で購入した現地版権取得物(版権を正式に受けて生産したもの。海賊版ではない)にはそれがなく、結局正式版を買う羽目になった。

 

粤語

『明知故犯』4:18

彼女ベストアルバム『靜听』に収録。彼女の初の粤語歌曲でこの曲が香港で大ブレイクし、一挙に有名になった。曲自体は彼女の普通話歌曲『明知道』のアンプラグド・バージョン(『遺憾』に収録)のカヴァー。歌の内容は男に遊ばれていながらもそれでも別れられない女の内心。ベタと言えばベタである。物語としてこの二つの歌(普通話/澳語)を比べると別れを決意した内容の『明知道』の方が後になるだろう。私個人としては内容的に『明知道』の方が気に入っているが、この歌は私が彼女の歌を聞く切っ掛けになったものでありそれなりの思い入れがあるのは事実である。しかし…VCDのC拉OKでは完全に『明知道』の方は忘れられているなあ…悲しい事だ。

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