新義本無言〜All Mighty Gambler〜

領銜主演 陳雅倫 銭小豪 徐少強 陳觀泰 葉榮祖 (脇役:周比利

粗筋(中文解説より):
 徐強と銭志勇(判りやすい名前だ)の二人は賭術に優れ、泰の片腕として活躍していた。二人は富豪の標[作中では彪]を嵌めて大金をせしめ、更に彼から歩行能力を奪ってしまった。其の事で彪は復讐を誓う。そして時は流れ、勇は一人の謎の女性ICEと知り合う。彼女は15年前泰に父親を殺された仇を討つために香港にやって来たのだが惜しくも殺害に失敗、逆に生命の危機に晒されるが勇により辛くも難を逃れる。強と勇はK社会での生活に嫌気がさし、家族と共に97年、カナダに移住する事を決意する。出発の直前に泰に請われて最後の仕事(トランプ博打の代打ち)を請け負う二人だったが、それは泰と彪が背後で手を組んだ陰謀であり、彼らから金、命の両方を奪う為に仕組まれた罠だったのだ…。

 94年に制作されたK社会モノの一つ。主役は前半こそ銭小豪だが後半は完全に徐少強。と云うのも銭小豪は計られた上、片足を回転鋸で切断された挙句に失血死してしまい、途中で退場してしまうからである。この物語では徐少強は落ち着いた銭小豪の兄貴分を演じている。「動」の銭小豪に対して「静」の徐少強はなかなか良いコンビ振りを発揮していた。当然徐少強だから普段は静かでもヒロインのICEがカジノでいかさまを働いた瞬間、彼だけが気付いて警告したり、彪の手下にロシアン・ルーレットを強要(しかも5/6の確率)されたとき、その強運から空を引き当て危機を脱し、あまつさえ仕組まれた罠に嵌り、金を銀行から引き出して来た所で二台の車に撥ねられて、まだ生きているなどフィクショナルなパワーを漲らせており、且つ二人掛かりとは云え周比利を秒殺してしまう強さも持っている。そしてラストシーン、父親と銭志勇、両方の復讐を果たしたヒロインに「何かあったらカナダの俺の住所に連絡をくれ」と紙を渡し、そう云って去っときながら実はその紙は全くの白紙であった、などという演出といい、何から何までかっこいい。今回は完全に敵役でないので何となく嬉しい。只、今まで私が見てきた徐少強は皆長髪だったせいで、この話でのGジャン+クシャ髪短髪のファッションは妙に違和感があったし、ゴッドギャンブラーと違って彼のアクションシーンが粗皆無だった事が惜しまれる。この話の中ではイカサマも科学的なもの(X線紛いの光線を発してカードの数字を読み取るライター、光を当てる事によって数字の変るカード)を駆使し、どないすんねんレベルの博打が行われていた。

おまけ「私の彼は周比利」
 この作品の隠れた見所としては無名時代の周比利が出演している事である。無名と言ってもちゃんとアクションシーンはあるし(ビリーパンチは出るが不発)、台詞も「聴(ティン、話聞けよの意)」の他、悲鳴を上げるなど、其れなりに見せ場があった。彼の役は銭志勇がナンパした女の彼氏、比利(…)の役。女によると彼は腕っ節が強く(当然だ)、一人で九人の男をのした事もある(それどころかもっと凄そうだ)という。それよりも周比利を彼氏と云い切るこの女只者ではない。一体どんな付き合いなのか…と想像するだに恐ろしい。流石…大物だ。
 この作品でのビリーの最期:銭志勇をぶちのめし止めを刺そうとする周比利に、徐強が「警察だ」とはったりをかまして表に連行する。弁護する彼女を尻目にエレベータに乗せられた周比利はそこで二人にぼこぼこにされ、再びエレベータの扉が開き、彼女が中を覗き込んだ時には既に件のやられポーズで口から血を流して気絶していた。

この作品が作られたのは電影検査U級の年月日から94年7月28日以前のものだと推測されるが、この時点で周比利が無名なのは一体?謎だ。

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