中華道士〜Duel of the Masters〜

領銜主演 徐少強 ソニー・ユー他

 唸る道術、風切る剣、やってきました中華道士!
 嘗て中国に二人の功夫マスター(というかどう見ても変人)の兄弟がいた。兄はちびで酔っ払い、移動の時には酒樽も兼ねた木馬に乗る。弟は怒りっぽい上に喘息持ち、これまたへんてこな手押し車に乗って移動する。二人は事ある毎に対立し、その恩讐はそれぞれの弟子、フェイ(徐少強)と龍介に受け継がれていた。しかし、そうは云ったもののフェイは本人曰く、『背が高くて利口で美男子』、かてて加えて龍介よりもずっと腕が立つ。フェイは喘息持ちのマスターの娘に惚れており、彼女に色々モーションをかけるが彼女は知らん振り、それどころかフェイの持っていた供物用の人形に火をつける始末。そんな中、村にキョンシー騒ぎが起こった。この事件を解決し、名を揚げて師叔に覚えめでたくしてもらおうと考えたフェイは自らキョンシー退治に乗り出すのだった。

 全体的にコメディ色の強い、完全英語の古装もの。のっけから師匠が英語で命令し、徐少強がそれにこれまた英語で答えるという展開に思わず目を見張った。どうせ又香港映画特有の時代設定無茶苦茶な映画なのだろうと思っていると、登場人物全てが英語で会話している。これが完全に英語で作成された映画である事を認識するのに時間は掛からなかったが、違和感のある事ある事。これが英語吹き替えを邦訳した物か、それともマジで英語ドラマとして製作されたのかは全く判らない(口の動きを見ていると英語喋っているようにもみえるし)。この話で徐少強は主役の快活な青年道士・フェイを楽しそうに演じている。兎に角、このフェイ、少々自己中心的で荒っぽい所もあるが基本的にはイイ奴で、ヒロイン・ジージィの心を射止める為に体を張る好漢である。昔の作品の為特撮が非常にショボイ(効果音もショボさを更に深めている)ので、それを補わんと我等が徐少強はバンバンアクションを見せてくれる。それこそ、喋っているよりも体動かしている時間のほうが遥かに長いくらいである。その髪型は総髪で揉み上げが四角い、まるで後ろ髪を伸ばした金八先生の如きもので、彼の持つ暑苦しさは幾分和らげられ、表情も他作品で見られるような上目遣いで相手を射すくめるようなあの怖さは微塵も感じられない。服は茶系の服に襷状の物入れを兼ねた独特の服装。背中には剣等を背負う。この服にポケットはたった一つで、何でもそれに入れてしまう為いざと云うときにお目当ての品が中々見つからずあせる辺りが可愛らしい。徐少強の今作品での見せ場は露店街で官兵相手に師匠と共に吹き替えありで戦う場面(そういやあの後彼らはどうして堂々と街を歩いていたのだろう。謎だ)とキョンシーとの決戦シーンである。『養鬼』での徐少強が崩れた顔面をしていたが、龍介の鏡攻撃であれと五十歩百歩の面相に成り果てたキョンシー(こいつがなかなかイイ味出している)相手に颯爽と挑む彼の姿は、笑いを誘うと同時になにか勇ましい。やはりキョンシーが相手だとどうも気が抜けるというのか…未だにあれが怖いとは到底思えない。徐少強には役不足だろう。しかし、今作品で徐少強は撮影技術の悲しさよ、アクションが余り得意でない事を私に完全に認識させてしまった。

情報&資料提供:MEGUMIさん 多謝!

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