お気に入り彭羚〔Cass Pang〕の曲

彭羚の歌声はポップ的なものとは違うが、通りの良いその声調は非常に美しい。声の系統は林憶蓮系(ってなに?)で声域は非常に広い。某紙で歌がベタ系と評されていたがそれもまた一興。

 

普通話

『連回憶都不給我ロ馬?』 4:49

アルバム『囚鳥』に収録。このアルバムは台湾の張宇Phill Changが全10曲中6曲作曲しているがこの曲もその内の一つである。張宇と言えば香港・台湾の歌手に曲を提供している事で知られているお方であり、自身も歌手として知られている。この人は張學友の「回頭太難」や王菲の「天與地〔この曲は彼の代表曲『用心良苦』のカヴァーである〕を聞けば判るとは思うが典型的なバラードを得意とし(誉めてんですよ)彼女の声にぴったり嵌ったアルバムを創ったと言えるだろう。しかし…内容が全体的に暗いのはどうにかならんのか。この曲も当然バラードで(と云うより普通話の中文歌曲はどう聞いてもバラード向きでしょう、やっぱり)彼女の広い声域に対応した良い曲である。「ィ尓帶走我的笑 又用涙把我的心全都撕砕 〜 只剰痛苦的想念」辺りの盛り上がりは流石。歌詞の内容は男に騙されている女がそれを判っていながら言い出せず一人苦しむというもの。この辺りがベタと呼ばれる所以であるが…彼女だけがベタとは云いきれまい?

 

『随愛而飛』 4:21

同名のアルバムのタイトル・チューン。ベタ系でない方の歌曲としてはこっち。『囚鳥』の一年前のアルバムである。どちらかと言えばこっちの方が聞いてて気分が良いのは云うまでもない。のびのびとした歌声が素晴らしい。曲の内容は過去を断ち切って新しい恋を捜そうといったもので前述のそれよりも聞いてて頭の中に青空が広がる感じがする。因みに『囚鳥』は青空と言うより夜とか嵐をイメージさせる。というのも一曲目のタイトルチューン「囚鳥」の中で雷鳴のSEが聞こえる為にそう云う刷り込みがなされているのではなかろうか。

 

澳語

『讓我跟ィ尓走』

アルバム『未完的小説』に収録。同アルバムは94年のプラチナアルバムになったそうで別包装・廉価版で再販されていたのは割と最近の事である。このアルバムは精選歌集なので買っても損はない。というより買うべきであろう。作曲者は巫啓賢Eric Mo。歌手として知られており、日本語でもシングルを出していた筈である。『未完的小説』では彭羚の独唱バージョンと彼とのデュエットバージョンが収録されている。歌詞の内容は新しい恋の予感に戸惑いながらも貴方に付いて行こう、だから私を放さないでと呼びかける、というもの。廣東話のポップな感じが耳に心地よい。

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