黑風客棧

黑風客棧～Black Wind Inn～

領銜主演　關禮傑　徐少強　他

　舞台は1926年。中国の政局は混迷を極め、また自然災害による被害も大きかった。長江、淮河の氾濫による危機を救わんと集められた50万元もの銀を届ける事となった德威[金票]局は、その途中で黑虎山の匪賊・黑風塞に襲われてしまう。部下は全員その場で切り殺され、頭目は息子の目前で斬首されてしまったが、息子の方は匪賊の二当家によって命だけは助けられたが幽閉されるに留まった。しかし、そのせいで一人姿を見せない息子は世間では銀欲しさに局を裏切った事にされてしまった。この事に疑念を抱いたその妹・飛鳳とその義兄はたった二人で黑虎山に向かう事に。そこで彼らは謎の人物・張義夫に出会う。最初彼の事を疑っていた二人だったが、黑風塞に潜り込んだものの危機に陥った二人を助けた事から信頼関係を結ぶ。張義夫は廣東から北伐に向かった革命軍の一人であり、銀の行方を追っていたのだった。
　そして匪賊は多量の銀を入手した事から、欲に目が眩んだ当家同士で仲間割れを始め、ついには当家全員が死んでしまった。だが銀の在処は一体何処なのだろうか？

　民初名物？匪賊が跋扈する物語。匪賊の典型的パターンであるでっけえ刀或いは斧の白兵戦用武器＆モーゼル銃の取り合わせはこの映画でもやはり健在である。匪賊と言うものは早い話が山賊の手合いであり、これが大きくなると軍閥と言う事になる。張作霖や蒋介石なんかが代表的な例である。この物語に出てくる匪賊・黑風塞は、黑虎山を縄張りとし、黑風客棧という木賃宿の上がりで普段は生計を立てているようだ。この匪賊の頭目・大当家を演じるのが徐少強である。最初出て来た時は長い鬚、白い眉であった為に筆者は『又爺の役かよ！』と不満に思ったが、物語後半、銀を独り占めする為に故意に殺された振りをして残り三人の当家を対立・共倒れになるように仕向ける辺り悪人としての貫禄は充分である。それどころか、唯一人生き残り、銀を探す三当家に『何を探しているのだ？』と不意に現れ、うろたえた処を自ら始末する等強さもばっちりである。この時、『あんたは死んだ筈だ！』と問う三当家に向かって、こうでもせんとお前達の目を欺く事は出来ないからな、と平然として答える彼の顔は、寂れた爺の面ではなく、眉毛も黒く、鬚もないヤング徐少強だった。又このヤングバージョンの強い事強い事。主人公達三人掛りでも中々倒せないと言うのは勿論、アクションシーンが相当長く続いていた事もナイスだった。
…最近作品の中でやたら爺とヤングを使い分けるようになりましたな、徐大侠。それにしても…頭部の後退が目立つようになってきましたね。そのせいか、長髪の役柄が増えてきた様にも思えますが…。

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