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大阪販売士協会 会報紙「大阪販売士」第87号より

売れない時代の感性マーケティング(6)

−真の顧客満足は従業員満足から−


これからは、ハードでなくソフトの時代と言われています。例えば、商品の機能性では差別化ができず、ブランドイメージや商品イメージで差別化をする。商品そのものより、商品をどのように顧客に訴えかけるかで差別化するなどです。
どこでも販売している商品を扱っている小売店の場合は、顧客に自分の店で商品を購入してもらうために、他店と何を差別化するのかが特に重要となります。よくあるのは、価格で差別化しようと考え、値引きをして自分で自分の首をしめてしまうことです。それよりも、他店よりも商品を買いやすくする、顧客の気分をよくする、お客様に役立つ情報を提供するなど顧客が満足できるソフト面で付加価値を付けることが大切なのではないでしょうか?
顧客満足と言われてもう何年にもなりますが、本当に顧客が満足して買物ができるお店がどれくらいあるのでしょうか? 本当に顧客のことを考えているお店がどれだけあるでしょか? 私が見ている限りでは、顧客に満足してもらうためにすべきことはまだまだ一杯あります。顧客の購買行動の妨げになっていることもたくさんあります。
最近、1冊の本に出会いました。この本には、私が普段思っているようなことが書かれていました。
アメリカに、顧客の行動を分析して売れる店づくりを提案している調査会社があります。この会社は、店内の顧客の行動をビデオに撮り、購買行動を分析し、購買を妨げていることを見つけ出し、改善するわけです。この内容が本になっているのです。全米で160万部が売れベストセラーになりました。本のタイトルは「Why We Buy」、日本では「ショッピングの科学」(早川書房)として書店に並んでいます。

簡単に内容を紹介しますと『ドッグフードは大人が購入するが、犬のおやつはこどもや老人が購入する。ところが、犬のおやつは売れなので陳列棚の一番上に積まれていて、こどもや老人にはとれない。そこでこれらの商品を手の届くところに陳列すると、売上がアップした』『顧客は、2・3個の目当ての商品があって買物にくるが、店内を回っているうちに他にも購入する商品があることに気付く。しかし、手にカゴがなく、持てる商品だけを購入して帰る。そこで、3個以上の商品を持っている顧客に、カゴを手渡すようにすると売上がアップした』と言うことが書かれています。
お店の中には改善すべきことが一杯あることが分かります。しかし、これらのことを調査するのに、10台のカメラを1日8時間、出入り口や陳列台などにむけて撮影し、そのテープを全て見て分析したり、専門の調査担当が分からないように顧客の跡をつけて、顧客の行動をチェックするのです。ですから、費用も膨大なものになるでしょう。結局大きな企業しか導入できないということになります。
私が言いたいのはここからです。本当に、顧客の購買行動を妨げているものを見つけ出すのに、ビデオを何十時間も回さなければいけないのでしょうか? お店にいる従業員が、顧客の購買行動に注意していればある程度改善すべき点が分かるのではないでしょうか? 従業員が、心からお客様に快適な買物をしてもらおうと考え、日ごろから問題意識をもって顧客の行動を見ていたら、上記のことに気づくのではないでしょうか?それが出来ないとしたらどこに問題があるのでしょうか? 
日経新聞の調査によると、今のサラリーマンの60%が、お金のために働いていると答えています。割り切って、言われたことだけしていればそれでいいと考えている人が多いということです。これでは、従業員に「問題意識をもって、顧客満足を真剣には考えなさい」といっても無理でしょう。
もし、真の顧客満足を望むなら、従業員の満足を考えなければならないと言うことではないでしょうか? 「従業員満足無くして、顧客満足なし!」実はこれが、従業員にとっても、企業にとっても、顧客にとって、最も大切なことなのではないでしょうか?

2002/2/7


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