固有振動数
   多かれ少なかれ、世の中の物体は振動する。しかも、その振動数というのは決まっている。はっきり、振動と認識できるものは特に振動体と呼ばれる。その振動体が持つ決まった振動数を固有振動数という。振動数が人間の聞く音の範囲にあれば、特に音源と呼ばれる。つまり、20Hzから20000Hzで振動するものである。

共振

   公園にあるブランコも振動体である。ブランコの振動数はその長さによって決まってしまう。つまり、単振り子などの場合、固有振動数は長さによって決まるわけだ。公園で試してみるがいい。どんなに力を加えても振動数は変わらないはずだ。
ブランコの振幅が小さく、もう少し大きく振れればいいのにと思っている小さな子がいる。これを後ろから押して大きく振れるようにしてやりたい。このとき、力を加えるタイミングがあるのはわかるだろう


ワンちゃんの腕が規則正しく動いている。これを振動と見るとブランコの振動と一致していることがわかるだろう。でたらめにブランコに力を加えても振れは大きくならない。
   このように、振動体と同じ振動数で振動するものがあれば、タイミング良く力がはたらくので振動がますます大きくなる。これが共振である。特に音として聞こえる場合は共鳴と呼ばれる。共振は電波の受信などにも関係があり、また、その分野で説明するので理屈をよく知っておこう。

   もうひとつ、わかりやすい共振の例を考えておこう。

船のローリング

   船が横揺れすることをローリングという。ちなみに縦揺れはピッチングだ。乗船している人間の重さが影響を及ぼす程度の船がローリングしている状態を考えてみよう。

説明のために描いてあるので実際の振動数とは異なっている。しかし、このようにちゃんと、固有振動数を持っている。

人の心理状態を含めて考えてみると、

海面が近づくと怖いので、できるだけ海面から遠ざかろうと左端によってしまう。船は放っておいても左に傾くのにそのときのタイミングで力を加えるのと同じ結果になる。

やはり、海面から遠ざかろうと右端によってしまう。放っておいても船は右に傾こうとするのに追い打ちをかけるように力を加えるのと同じ結果になる。

これでは振動が大きくなるばかりで、ついには転覆という事態も考えられる。

人の移動を一つの振動ととらえているが、ちゃんと振動数が一致しているのがわかるだろう。これが共振である。

気柱共鳴の実験

    音波の分野でよく行われる基本的な教育目的の実験の一つに気柱を共振させる実験がある。適当な長さの気柱はちょうどわれわれに音として聞こえる程度の振動数で振動してくれるので、このときの共振は特に共鳴と呼ばれるのだ。しかし、べつに神経質に区別する必要はない。同じ現象だ。

右のような装置で気柱の長さを調節するわけだが、右の水おけを下げると左のガラス管内の水面はあがるだろうか、さがるだろうか?ふふふ、あたりまえのようだが、案外間違えたりする。

このようにして気柱の長さが調節できるのである。


気柱共鳴の実験


   ガラス管の管口近くで音叉を鳴らしながら気柱の長さを変えていく。気柱は長さによって固有振動数が決まるから、音叉と同じ振動数になったとき共鳴が起きるのである。



    横波で表示してみたが、共鳴しているときは音叉と同じ振動数で振動しているはずだから、気柱にできる定常波の波長も決まってくる。すなわち、気柱の長さが決まってくるのである。この気柱の長さを測定してやると波長がわかる。気温を測定すれば音速もわかるから、音叉の振動数をつきとめることができるのである。


開口端補正について

   ガラス管内にできた気柱の振動範囲について考えると、実際は管口から少しはみ出して振動している。だから気柱としての長さは管口から少しはみ出したところまでとなる。このはみ出している部分を開口端補正とか、管口端補正とか呼ばれる。
1回目と2回目で共鳴が起きた位置を並べてみてみよう。


それでは管口からの距離を読みとってみよう。






開口端補正を求める
   左図は管口付近の様子を拡大して表示したものである。
大きさの違いは振幅の違いである。そのことを横波に変換した図で確認すると

凾が管口端補正である。




サルドプ
(サルでもわかるドップラー効果)

   さて、音は波であるから「ドップラー効果」と呼ばれる現象が観察される。これは波に起こる現象であり、音も波であるからこそ観察されるのである。波をつくり出すものが動いていたり、観察している人が動いていると生じる。その原因を理解することは重要である。

@観測者が静止していて音源が動いている場合
音を出しているものを音源という。いま、この音源が動いている場合を考えてみよう。
まず、比較のため音源が静止している場合、音波はどのように広がるのかみてみよう。


四方八方へおなじ波長が出ていることがわかる。


音源の右側で波長が短く、左では長くなっていることがわかるだろう。このような場合にドップラー効果が起こる原因は波長が変わることにある。

それではこの波長を求めてみよう
音源の振動数はfo[Hz]、音速をV[m/s]音源の速さをu[m/s]とする。


最初の音波が広がった範囲は


振動数がfo[Hz]ということは1秒間にfo個の波をつくりだしている。これらの波が上で求めた音源からの位置に詰め込まれているはずであるから、波1個分の長さを求めれば波長となる。


音速Vをこの波長で割れば振動数となる。すなわち、観測者が聞く音の高さとなるのだ。
左の図を頭の中に描けるようになることが重要なのである。



   それでは、練習問題をやって図を頭に描く訓練をしてみよう。
   まず、ニャンコに対して20[m/s]で近づくパトカーがある。1000[Hz]のサイレンを鳴らしているとしよう。このサイレンの音は1000[Hz]よりも高い音に聞こえるが、これを求めてみよう。
ニャンコの方へ伝わるサイレンの音の波長は何mになるだろうか。暗算でできるように簡単な数値を選んである。半角数値で入力のこと。
波長は
 mとなる。


   それでは、こんどはワンちゃんに対して20[m/s]で遠ざかるパトカーである。このサイレンの音は1000[Hz]よりも低い音に聞こえるが、これを求めてみよう。
ワンちゃんの方へ伝わるサイレンの音の波長は何mになるだろうか。半角数値で入力のこと。
波長は
 mとなる。


A音源が静止していて観測者が動いている場合
   今度は音源が静止していて観測者が動く場合を考えてみよう。まず、静止した音源からはどのような波長の音が出ているのだろうか。
   波長は音速を振動数で割れば良いのだが、そんなことは覚えておかなくても少し考えればわかることだ。



   静止した音源に近づいていく場合を考えよう。

速さu[m/s]で近づく場合を想定しよう。
このワンちゃんにとっては何が変わるのかよく考えてみよう。ワンちゃんにとっては静止しているはずの空気も速さu[m/s]で自分に向かってくるようになるはずだ。音は空気の振動だから本来の音速Vにuがプラスされることになる。あくまで、ワンちゃんにとってのみ音速が変わったのであり、他の静止している人にとっては音速はVのままなのである。

しかし、音源が動かないのだから波長は変わらないはずだ。

したがって、振動数は


   静止した音源から遠ざかる場合

速さu[m/s]で遠ざかる場合を想定しよう。
このワンちゃんにとっては静止しているはずの空気も速さu[m/s]で自分から遠ざかるようになるはずだ。音は空気の振動だから本来の音速VがV−uとなる。
しかし、音源が動かないのだから波長は変わらないのは同じだ。

したがって、振動数は


   以上まとめてみると、音源が動けば波長が変わり、観測者が動けば音速が変わるということになる。もちろん、両方が動けば両方が変わるのだ。 本質的に理解していると、妙な問題に出くわしても考える余地が出てくる。
   たとえば、右のように風が吹いているとどうなるだろうか。次から番号を選び、そのボタンを押してみよ。
波長だけが変わる
波長と音速だけが変わる
波長も、音速も、振動数も変わる



   それではなぜ、波長と速さが変わるのに、振動数だけが変わらないのか考えてみよう。
音速がV[m/s]で振動数がf[Hz]ということはV[m]中にf個の波があるということだ。

音速がV+u[m/s]になったのだからV+u[m]中にf個の波があることになる。だから、波長(波1個分の長さ)も変わるのだが1秒間あたりの波の数はf個のままなのである。それは1秒間に生産される波の数は風に左右されないから当たり前である。すなわち、振動数はf[Hz]のままということになる。



音源も観測者も動く場合で練習問題

   20[m/s]で1000[Hz]のサイレンを鳴らして近づいてくるパトカーに、同じ20[m/s]の速さで近づくワンちゃんがいる。このワンちゃんにはサイレンの音が何[Hz]に聞こえるだろうか。
まずはパトカーが動いているため、波長が変わってくる。この波長を求めることから始めよう。

300[m]の中に1000[Hz]の波があるから

ワンちゃんが動いているのでワンちゃんにとっての音速は

音速と波長がわかれば簡単





   ワンちゃんが右に動いていたらどうなるかも、考えてみよ。パトカーとワンちゃんの距離がずっと変わらないからどうなるか知りたいだろう。そんな人は自分で確かめてみよう。
   今回はサルにもわかってもらうためにあえて公式など書かなかったが使わなくても解けることがわかっただろう。