電気力線
   電気の力がはたらく場所を電場という。正電荷と負電荷が同時にあった場合、その回りの電場の様子はどうなっているだろうか。ただし、電荷の大きさは考えていないので点電荷とする。
   私たちは重力を身近に感じているため電気的な力も重力に置き換えてイメージしてみるとわかりやすい。電場の様子を高い山や奥深い谷でイメージするのだ。


   これは平面的な図である。難しいが高さを表す等電位面を描けば少し、立体的に見えるかも知れない。

   電場の様子は+の電荷が受ける力の大きさと向きで表される。その様子を電気力線を使って描いてみよう。正電荷がどのような力を受けるのか考えてみるといい。 山の頂上から水を流した場合の流れる方向をイメージすると良い。

   ふ〜ん、そうなのか。で終わってしまってはいけない。重力の世界に例えてみたが実感としてわかっただろうか。どっぷりと浸ってみないとなかなか理解は難しい。そこで、a→b→c→d→eの順にニャンコに冒険してもらおう。

ニャンコの冒険
@aの場面で
   電場の様子を重力場に例えているので少し様子の違ったところがある。比較しながら見ていこう。

   はっ?何?わけわからんというのが本音だろう。実際の電場ではどうも、実感がわかないがここは大きな力がはたらく場所であって、高い場所なのだ。高いって何が高いのかというと位置エネルギーの大きい場所ということなのだ。電気の世界でいう位置エネルギーはこのように形として見えないので自分でイメージをつくろう。せめて、大きな力がはたらく場所であるということを電気力線を用いて表現してみよう。

ここでは力は360°あらゆる方向にはたらく。

重力の世界では位置エネルギーの大きい場所は高い場所として見えるから理解しやすい。山の地形もこんな急斜面であればほぼストレートに重力がはたらくことが理解されよう。

Abの場面で
   さぁ、山の中腹あたりだ。高さ的には低くなったがまだまだ、急斜面が続く。油断は禁物、ロープを使って慎重に降りるニャンコである。

う〜ん、このままではやはり実感がない。

少しはましか。ほら、電気力線を川の流れだと思えば右に力がはたらいているというのが何となくわかってくるだろう。左が上流だから高い位置になる。

やはり、重力場はわかりやすい!

Bcの場面で
   ほとんど山を下りきったのでお気楽である。この先に深い谷があるとも知らないでニャンコはどんどん進む。

う〜ん、このままではやはり実感がない。

電気力線を描く密度をだいぶ小さくし、力が弱まっていることを表現している。川の流れに例えればゆるやかな流れということ。

ふん、ふん!

Cdの場面で
   また、ふたたび急斜面だ。

う〜ん、このままではやはり実感がない。

電気力線をすごい、洪水だと思えばわかりやすい。


ひぃ〜!

Deの場面で
   遂に、落ちるところまで落ちたニャンコであった。

やはりわかりにくいがマイナスに張り付いてしまっている。位置エネルギーが最低の所だ。高さが最低の所であるという認識が必要である。

電気力線を水のすい込み口があってマイナスのところで吸い込まれている水だとと思えば少しはわかるだろう。

やれやれ!

ふたたび、電気力線

   以上のように、電場というのがいかに実感しにくいものであるかわかっただろう。だから、これを表すのに電気力線は欠かせない。そこで、電場の理解に必要な電気力線の性質についてまとめておこう。電気力線は電場をより理解しやすくするために導入するものであるから、この際、都合がいいようにいろんな性質を持たせておこう。
@電気力線は+から出て−に入るものとする。

正電荷が受ける力の向きだからね。

A電気力線は途中で枝分かれしたり、折れ曲がったりしない。
そもそも、電気力線は正の電荷が受ける力の方向を示している。だからP点に正電荷を置けば

ごらんのように、その接線の向きに力がはたらくことを示している。ところが、電気力線が折れたり、枝分かれしていると

接線を引くのに悩んでしまうだろう。つまり、何通りも接線が引け、力のはたらく方向が何通りにもなってしまうからだ。枝分かれしていても同じ事である。

B電気力線自体は常に縮もうとしている。
正電荷と負電荷の間にある電気力線を伸びたゴムかバネと思えば縮もうとしているはずだ。だから、正電荷と負電荷は引き合うことを説明するのに都合がよい。
C電気力線同士は反発しあう。
図は正電荷同士が接近してる時のものだがお互い、出すばかりなので電気力線で結ばれることがない。電気力線同士が反発する性質を持っておればこれも同種の電荷は反発し合うということをうまく説明できる。負電荷同士でも電気力線によってつながってないので同じ事がいえる。
DE[N/C]の電場の強さの所では1[m2]あたり、E本の密度で電気力線を引くものとする。
   たとえば、電荷に近いAの場所では1m2の面積を置けば7本の電気力線が貫いているので7[N/C]となる。Bのところは電荷から離れているので2[N/C]と小さくなっていることがわかる。7[N/C]のところでは1[C]の電荷を置けば7[N]の力がはたらくことを示している。しかし、この電気力線の数は概念的なものであって、実際に1本、2本と数えるようなものではない。あくまで、このような比例関係を持ったイメージを作りなさいということである。だから、ときには10−3本とか、無理数である円周率のπを用いてπ本とかわけのわからないことが出てくるからとまどわないように。


大切なガウスの定理


   正電荷からは電気力線が出ているといったが、+Q[C]の正電荷からは一体何本出ていることになるのだろうか。そんなこと、わかるわけがないと思うかも知れないが、電気力線の定義から考えればわかるのである。
    まず、+Q[C]からr[m]離れたところの電場の強さはいくらになるか考えてみよう。+1[C]にはたらく力の大きさを考えればよいから、クーロンの法則から求めてみよう。

これは1[m2]あたり、これだけの本数の電気力線があるということだから、半径rの球の表面積全体を考えればわかるのである。

   結局+Q[C]から総数で4πkQ0本の電気力線が出ていることになる。これはガウスの法則といわれるもので、後でまた使うのでよく覚えておこう。
といってもすぐ記憶がなくなるであろう。そんなときは「毛はえ薬」をつかって増毛を試みたが結局失敗して毛が9本になった。とおぼえよう。ん?失敗して毛が9本でしょ。シッパイケガ9ホン、4πkQ0本じゃ。

   4πk0の逆数を誘電率などといってε0という記号で表す場合がある。これを使うと

ε0は、いぷしろんぜろと読む。



電位とか電位差のこと
   さぁ、今までのことで電場のことが少しわかっただろうか。基本的には重力の世界と同じなのだが少し違うところもある。それは電気には正と負があるということだ。今度は電場中での高さの話だ。実際に高い低いが目に見えるわけではないが確かに、高いところと低いところはある。この世界では高さは[V]で表す。[V]はボルトとよみ、もともとはボルタという物理学者の名前だったのだ。
    中央に正電荷があり電場が作られている。今、これに向かって+1[C]の電荷を運んでいくことを考えてみる。念のため、同時に重力の世界に例えた山の図も表示したので参考にすると良い。

   どうだろうか、頂上まで運び上げるのに大変な労力(エネルギー)が必要なことがわかるだろうか。電場ではもちろん、電気力が常に押し戻そうとするのでこれに抵抗して力を加え続け、運ばねばならない。電気力に対してした仕事は電場の位置エネルギーとして蓄えられていく。そう、電気力は重力や弾性力と同じ保存力なのだ。
   もし、+1[C]の電荷を運ぶのに3[J]の仕事をしたなら、それだけ位置エネルギーとし電場に蓄えられる。これが場での置エネルギー、つまり電位だ。そして、この位置の電位は3[V]である、などという。電位さえわかっておれば、必要なエネルギーは簡単に計算されるはずだ。例えば、この3[V]の位置まで5[C]の正電荷を運び上げようとすれば、+1[C]につき、3[J]ということだから、15[J]のエネルギーが必要なことがわかる。これが、負電荷であるならば−をつければよいだけのことだが、これについてもちょっと考えてみよう。



    今度は中央に負電荷があり電場が作られている。今、これに向かって+1[C]の電荷を運んでいくことを考えてみる。やはり、同時に重力の世界に例えた山の図も表示しておく。

   今度はマイナスの電荷があるのだから放っておいてもどんどん落ち込んでいくだろう。むしろ等速度で運ぶためには逆向きに力を加えながら運ばねばならない。これは負の仕事をしてることになる。ちょうど、重力の世界で高いところから低いところへ等速度でものを運ぶのと同じだ。だから位置エネルギーは減っていくということだ。つまり負の電位となる。しかし、正とか負とかいうのは基準に対していうのであって基準をどこにとるかによって変わるのは重力の世界も同じだ。

ここでちょっと問題
   左の図は3[V]ごとに電場が高くなっている状態を示す等電位面である。いま、+1[C]の電荷を運ぶのにa→b→c→dの順に運び上げた。    a→dでいくらのエネルギーが必要だろうか。下の空欄内に数値を入れてみよ。(全角文字はダメですよ。)
J

    どうしてもわからない場合はニャンコに教えてもらいなさい。
   



    そして、a点b点との差は6Vだが、これを電位差という。電位はどこか0Vの基準を決て、そこからはかった高さのことだ。