美山川釣行レポート
フロントパネル
   今年も渓流魚釣りが解禁となる季節が来た。
2004年、美山川は3月20日(土曜日)が解禁日だった。平年は、日曜日が解禁日となるので、てっきり21日の日曜日だとばっかり思っていた。解禁日である20日には解禁時の釣っている姿をシミュレーションしながら念入りな準備をしていたのであるから全くおめでたい話である。渓流の解禁といっても野生の魚を釣るわけではない。狙いはアマゴと呼ばれる魚であるがこれは解禁日に合わせて多量に放流されるのである。そんなわけであるから解禁日にはほとんどが釣られてしまいこの日を逃すとたくさんの釣果は望めなくなる。昨年度の4月には20万尾の稚魚が放流されているが自然の中で稚魚が成長できる確率はきわめて低い。しかも成長していてもこの時期だとせいぜい12〜3cmのサイズだろう。
   午前4時まだ暗い中、車で出発。インジケーターの光がまぶしく、吐く息は白い。
 


周山街道の雲海
栗尾峠
   年によってはかなりの積雪があるのでタイヤチェーン必携である。しかし、今年はときおり木陰に雪の固まりを見かける程度でなんの労もなく走ることができた。国道162号線を北上、京北の地に至るのだが、この国道は通称「周山街道」と呼ばれ山間を抜けて北上する道である。途中、京北町に入る手前で栗尾峠という峠を越えるのだが、あたりは白み始めたとはいえまだまだ薄暗さが残る時間帯だ。壮大な雲海を目にすることができた。このあたりは条件が整えばしばしば雲海を見ることができるらしい。 前方でガードレールに人がもたれ手を挙げているように見えるがこれは全く目の錯覚で木々の間から漏れる夜明け前の明かりだ。  







冬と春が同居する美山
知見谷川
   さて、午前6時、いざ、釣り始めようとしてはたと気づく。釣り人が少ないじゃないか。もしかして、と案内パンフを確かめると解禁日は20日と書いてある。思いこみとは恐ろしいものだ。確かめもしなかった。ガックリときたが気を取り直し釣り始める。混雑を避けて濃密放流句を避けて来たこともあり全く釣れない。釣果もさることながら自然の中でのんびりと過ごせることの方が楽しい。この上、釣れたら申し訳ないなどと負け惜しみ気味な考えが支配する。それにしても、寒い、冷たい。何故、こんなにまでしてきてしまうのだろう。なかば自嘲的な思いと身の不運を嘆く思いが交差する。








野生動物の痕跡が
皮を剥がれた倒木
   河原には厳冬期の雪の重みで倒れたと思わせる倒木があった。丁寧に皮が削り取られている。シカだ。シカに違いない。植林した苗木の皮がシカに食べられる被害が相次いでいると何かの折聞いたことがある。そういえばこのあたりの山の杉の地上近くの部分には塩ビテープのようなものがクロス状に巻いてある。シカの被害を防ぐためと考えれば合点がいく。きっと音もなく降り続ける雪の中でひたすら飢えをしのぐためにこの倒木の皮を剥いでは食べていたに違いない。美味しくもなくただ、飢えをしのぐためだけに食べていたのだろう。この無惨な倒木は映写機の如く少し前に起きたであろう出来事を映し出す。そしてこの世に存在した痕跡を残すために少しだけシカの役にも立って消え去るのだ。 おっと、消える前に美味しいキノコでも発生させてくれたら私の役にも立つのだが。

シカの糞らしきものがあっちこっちに落ちている。
シカの糞
河原のシカの角
   釣れるポイントを探しながら河原を移動していると見慣れないものが目に飛び込んできた。なんだ、これは?なんと、鹿の角(つの)ではないか。どうしたのだろう。何故落ちているのだろう?
手にしたシカの角
   かなり大きく全長50cmを超える。しかも4本に枝分かれしている。シカの角は毎年生え替わるらしく2年目まで一本、3年目で2本に枝分かれ、4年目で3本、5年目以降は枝分かれの数は4本のままである。 この角の持ち主はかなり大きな雄鹿だということが想像される。
菊座
   昨日は解禁日でかなり多くの釣り人がここを歩いたはずだ。しかし、この角に触れられた形跡はない。きっと、昨夜から今日未明にかけて落としたに違いない。この角で雄同士、突きあいをしたりする。簡単にとれるはずもないのだろうが綺麗な断面で落ちていることから自然に落下したものにほぼ間違いない。断面にかすかに残された血痕がとれて間もないことを物語っている。人間でいえば乳歯が抜けるときのあの歯がゆい感じがあったのかも知れない。自然界ではシカの角も他の動物のカルシウム源として利用されてしまう。だから無傷で手にはいるなんて事はめったにない。各枝の先端部は木にこすりつけて磨いたのだろうか、象牙のような色と感触になっている。巨大な雄鹿の頭の上で大きく枝を張り冠のように雄鹿に威厳を持たせ、共に森の中を駆け回ったのだろが今、その役割を終えて静かに無に帰ろうとしていたのだ。大きなトロフィーを手に入れたような気分である。


唯一釣れたアマゴ

アマゴ   今回の釣行ではアマゴはこの一匹だけだ。尾びれの様子から成魚放流されたものであることがわかる。 今日は水温も低すぎるようでアマゴの動きもそう活発ではない。しかも持参した餌のイクラがもう一つの状態だ。よく確かめもせず醤油漬けに加工されたものを買っていた。針につけ、流れにのせるとすぐに皮が破れとれてしまうのだ。アマゴにとってももう一つの味だったにちがいない。しかし、もっと大きなサイズは放流しないのだろうか。
タカハヤ   アブラハヤとタカハヤの違いはよくわからない。タカハヤの方が少しずんぐりしているということだからこの魚はタカハヤであろう。口が小さく一気に餌を食べられないのでアマゴ釣りのとき餌だけを取って逃げることが多い。しかしも釣れたときは針を飲み込んでたりする。
ウグイ   かなり強い引きで釣れてきた。てっきり大きいアマゴだと思ったのだが上がってきたのはこのウグイだった。
カジカ   カジカである。カジカとしてはかなり大きいサイズだ。水のきれいな清流でしか見ることができない魚だ。そっとリリース。
カジカ   カジカの顔を正面から捉えてみた。
カワムツB型   カワムツ。体の両サイドに濃い藍色の筋模様があるのが特徴。最近見かけることがぐっと減ってきた魚である。