関西スポーツ文化振興協会
GREEN SPORTS CLUB
社会的背景から生涯スポーツの必要性が訴えられています。誰もが、いつでも、気軽に運動やスポーツができる環境が重要です。しかし、学校でのスポーツクラブは減少し、企業でのクラブも減少し、日本のスポーツを支えてきた学校スポーツ、企業スポーツが危機にあります。そこで、地域でのスポーツ教室やスポーツ大会を開催する地域のスポーツクラブが注目されているのです。
しかし、さまざまな問題も含んでいます。
ここでは、地域スポーツクラブについて考えてみます。
日本のスポーツ政策 : 日本のスポーツ振興の考え方は、トップダウン方式で一流選手を育成すれば、おのずとスポーツ人口が増えるであろうという考えのもと、生涯スポーツより、競技スポーツを優先されてきた。しかし、競技スポーツにおいて、世界のレベルから遅れているのが現状です。
日本の地域スポーツクラブの現状
現在の日本のスポーツクラブは下記の4つに分類できます。
・学校スポーツクラブ (高校・大学の運動部など)
・企業スポーツクラブ (職場のチーム、同好会など)
・地域スポーツクラブ (サッカー教室、リトルリーグ、ママさんバレー)
・民間スポーツクラブ (スイミングクラブ、フィットネスクラブ)
これからは地域スポーツクラブの時代と言われているのですが、現状日本の地域スポーツクラブの特徴は、単一種目を行なうスポーツクラブが中心です。これからは、複合種目を行なう地域スポーツクラブが重要になります。ここでは、いろんな年齢の人がそれぞれの価値観でスポーツを楽しんでいます。日本と欧州ではスポーツに対する考え方が異なります。日本では「選手=選ばれた人」しかし、欧米では「プレーヤー=スポーツを楽しむ人
」欧州ではスポーツは楽しむ為に行うものなのです。決して、鍛えるとか、競技力の向上だけが目的ではないのです。
ここで、各国の1日当りのスポーツ活動時間(分)を見てみましょう。日本の人が如何にスポーツに親しんでいないのかが分かります。
男子 |
女子 |
|
スウェーデン |
42 |
28 |
フィンランド |
34 |
25 |
ノルウェー |
25 |
19 |
オランダ |
19 |
12 |
イギリス |
18 |
10 |
日本 |
7 |
5 |
地域スポーツクラブについて、まとめると。
地域スポーツクラブを実現させる為には、@既存の各種スポーツクラブに理解を求め、集合させる。Aスポーツ少年団をコアにして、拡大させる。B体育協会や競技団体が中心となり、各種スポーツクラブに呼びかける。C体育指導委員やスポーツ指導員が各種スポーツクラブをまとめる。D施設は、地域スポーツセンターや学校解放施設を有効利用する。E事前に地区の教育委員会に理解を得る。
日本のクラブの特徴
日本のクラブ数が多いのに、所属している会員数の人口比(会員数/人口)は低い。
国 クラブ数 人口比率(%)
デンマーク 13100 42.5
フィンランド 5500 42.8
フランス 15500 20.0
ドイツ 65453 33.5
オランダ 31000 24.7
日本 352000 9.6 1990年調べ
日本には35万ほどのクラブがあるが、ほとんどが単一種目型であり、
スポーツクラブや学校運動部など全体の60〜70%が20人に満たない小さなクラブである。
スポーツクラブの平均会員数は31人である。(ドイツでは約300人といわれている)
地域スポーツクラブでは約92%が単一種目型で、約60%が限られた年齢層で構成されている。
学校運動部は制度上同種目で複数のチームを持つことができないために、1チームしかない。また、レギュラー以外は試合に出場する機会がなく、必然的にクラブ人数は減少する事になる。さらに、チームの選択もできない。
日本では地域スポーツクラブがうまくいかないといわれている理由。
スポーツクラブに対する日本とヨーロッパの考え方の相違
欧州ではスポーツが生活の一部になっている。
スポーツは、生涯を通じて楽しむもの。
スポーツは、自分の体力にあったものをする。
ヨーロッパでは、スポーツクラブの歴史は100年を超えているが、日本では始ったばかりである。
1995年から財政面での援助は地域の名士が後援する事で支えているが、日本では財政面の大半を行政からの補助金でまかなっている。
北欧では、地域にいくつかのスポーツクラブがあり、自分に最も適したクラブを選択することができが、日本では、参加するスポーツクラブが少なく、参加者が選べる状態にない。
北欧では遊ぶためにクラブが作られるが、日本では、勝つためとか、健康のためとか、大義名分がないとクラブが作られない。
高齢化社会への対応、生活環境の利便性に伴う身体活動の不足、コミュニケーションの希薄化、健康保険の赤字化、登校拒否
ヨーロッパでは、地域住民の自然発生的な集まりであるが、日本では文部省の指導のもと、地域の担当者が中心となり、地域住民が集められている。(モデル指定という形で発足したクラブに地域の需要や理解がどの程度あるのか疑問)
利用者が積極的に、スポーツクラブの運営に参加し、スポーツクラブは地域住民の意志とお金で支えていくべきと考えるが、日本では利用者がスポーツクラブの運営にかかわる意識が薄く、行政が行なうべきと考えている。また、スポーツクラブを地域の文化としてとらえる視点を持たない。
利用者からも会費を取ったり、地元の複数企業からの援助など積極的に運営費の獲得に努力しているが、日本では、利用者が運営費の獲得に無関心である。
指導員やプログラムが先にあり、後から施設を準備するが、日本では施設が先にあり、指導員やプログラムといったソフト部分が後回しになっている。
2001/7/1メインページへ戻る