肩ロース 風味はたいへん良いが、サーロイン、リブロースに比べるとやや固い。すき焼き、カレー、シチュー
カタ やや筋が多く固め。焼肉、カレー、スープ、シチューなど煮込みに最適
リブロース ヒレに次ぐ上肉。ステーキに最適。ローストビーフ、すき焼き、しゃぶしゃぶ。
ヒレ 最もやわらかい最上肉。テンダーロインともいう。ステーキ、焼肉に最適。
サーロイン 筋が少なく柔らかい。ステーキ、すき焼き、焼肉。
ランプ 味に深みのある赤身肉。ロースに次ぐ柔らかさ。ステーキ、バター焼き、網焼。
モモ 粗暴少なく赤身が多い。網焼、バター焼きなど焼肉用に最適。
そとモモ モモに比べやや固め。スライスすれば、バター焼きなどいろいろ使える
バラ やや固めだが,濃厚な風味。カレー、シチュー、カルピに向く。

INDEX


1.食肉の見分け方と選び方(牛肉の色)

●年齢、性別、品種別
●部位別による色の差
●発色作用について
●肪の色及び質

2.食肉の熟成について

3.食肉の保存方法

●冷蔵庫での保存
●冷凍庫での保存
●冷凍肉の上手な解凍方法

4.健康と食肉との関係

●動物性タンパク質の摂取量と寿命との相関関係
●平均寿命を延ばした結核・脳卒中の激減


食肉の見分け方と選び方(牛肉の色)

●年齢、性別、品種別
若齢のものは淡い紅色で、老齢のものは筋肉色素の沈着が進み濃い赤みを帯びています。
子牛の肉は、極めて淡いピンク色をしています。ほとんど筋肉色素が沈着していない、むしろ白色に近い肉色のものが良質のものとされています。
若齢肥育んの乳用牛は、和牛に比べやや淡い肉色です。また、同じ月齢のものの比較は、牛は去勢牛よりやや濃い肉色をしています。

●部位別による色の差
よく運動する部位のネック、すね、かた、ばら、そとももなどは、肉のきめは粗く、総体的に濃い肉色をしています。

●体調によるもの
と畜までの牛の管理状態で、微妙な肉色の変化が見られます。長時間のトラック輸送、多頭数を係留して起こるストレスなどはと畜後の肉色の赤みを強くし、生肉処理の段階でも良い発色作用が起きません。また、持続性がなく、早い時間で暗赤色へと変化します。

●熟成によるもの
牛肉の良い風味と軟らかさを出すために、適正な温度管理(摂氏0〜2度)の下でと畜後一週間程度の熟成が必要です。と畜後の新しい牛肉は、鮮やかな色はしてますが、見た目ほどうまさがありません。適正に熟成された牛肉は、赤みがやや沈んだ色となり、また、熟成が進みすぎると発色作用は短時間に終息してしまいます。


●発色作用について
牛肉を部分肉から生肉にする過程で、肉の断面の色合いに次のような変化が起こります。
カットされた表面は、処理後30分くらいでやや沈んだ紅色から鮮やか紅色に発色します。
上質なものは、更に「 」のある紅色に発色します。これは、筋肉色素、(ミオグロビン)が空気中の酸素に触れて起こる酸化現象です。

よく肥育され、十分な脂肪交雑を伴った牛肉は、発色による良い色が長時間持続されます。
時間の経過と共に発色作用は次第に弱まり、ミオグロビンはメトミオグロビンに変化し暗赤色となります。
スライスや切り身を積み重ねた部分が暗赤色になっていることがありますが、これは十分空気に触れないために発色作用が起こらなかったからです。また、時間が経過したため暗赤色に変わったものを、変質または腐敗していると判断するのは誤りですが、風味の点でやや劣ることは否めません。腐敗への肉色の変化は、暗赤色を通り過ぎますと黒みが増し、青みが強くなります。このようになると、やや黄色いネトが発生し異臭を放ちます。この段階のものは、もちろん廃棄処分となります。

●脂肪の色及び質
良い脂肪とは、色は白色または乳白色で適度な弾力と粘りのあるものです。
このような脂肪は、優れた芳香とうまみを持っていて、牛肉の味を一層引き立てます。
和牛の理想肥育(24ヶ月前後)からロ−ス部位などに霜降り状態の脂肪交雑が入り、風味や軟らかさは格別のものとなります。

脂肪の色や質は、肥料に影響されるところが大きく、穀物のうち大麦、燕麦などは良い脂肪を作るものとして知られています。

また、カロチン(黄色色素)が多く含まれる緑草、とうもろこしなどを多給しますと、脂肪にカロチンが沈着し、黄色から 色の脂肪となり、脂肪の質は粘り気のないものとなります。更に、老齢のものも各種の色素沈着が進み、このような色合いになるものが多くあります。

栄養学的には、いずれの色も問題はありませんが、飼料に起因する香りが移る場合があります。調理の過程で香草野菜や香辛料で調理する方が良いでしょう。
牛肉の脂肪は、沸点が高いので、牛肉料理は熱いうちに提供するのが一般的ですが、冷やして食べる料理は、脂肪をなるべく除去して調理するのが良い方法です。



食肉の熟成について

活きた魚を食べたことがありますか?こりこりとした歯応えと、独特の甘味を持った素晴らしい味覚に出会った方は、なぜこんなにおいしいのかと思われたことでしょう。

魚類や動物類は、死後必ず硬直現象を起こします。筋肉の中には糖類に属するグリコーゲンがあり、これが乳酸化する前に食べるわけですから、どくとくの甘いうまみが味わえる、と言うわけです。

俗に腐りかけのお肉が美味しいと言われますが、その事がすべてあっている訳ではありません。この場合いの「腐りかけ」とは、熟成のことを指しており冷蔵庫での温度は摂氏0〜2度ぐらいで3週間以上保管し、わざと麹菌などを寄生させた状態にします。
これには2つの要素があります。1つは、硬い肉を柔らかくすること2つ目は、独特の味噌付けの様な風味を出すためです。しかし、このような事は昭和30年代までの話で現在は牛の品質も向上しているのでそんなに長く熟成はせず、5日から10日ぐらいで柔らかく美味しい牛肉を食べることができます。



食肉の保存方法

●冷蔵庫での保存
家庭の冷蔵庫は、日常開閉が頻繁で庫内の温度一定しません。そこで、冷蔵庫をいつも整理し、対流がよくなるようにし庫内全般が低温になるようにいましょう。
冷蔵の場合基本は食べる分だけを買い求め、保存する時は、外気を遮断するためのラップ材、密閉容器を有効に活用が大切です。牛肉の賞味期間は3〜7日ぐらいです。豚肉は2〜4日ぐらいと思ってください。

●冷凍庫での保存
家庭での冷凍庫の温度はマイナス10度位の物です。これでは、食肉の深部まで冷凍するのに時間がかかります。瞬間冷凍が一番良いので家庭では、塊を冷凍するのではなく小分けしてラップ材が敗れないように薄く冷凍することが大切です。この場合うまく保存しておけば賞味期限は特にありません。

●冷凍肉の上手な解凍方法
冷凍肉は、低温でゆっくりと解凍するのが原則です。肉のうまみとなる肉汁の流失を防ぐためです。例えば、夕食に使う場合その肉の大きさ、季節の違いもありますが、前日の夜か当日の朝のうちに冷蔵庫に移し、ゆっくりと解凍してください。室内に放置したり、流水や温湯に浸しつづけることはやめましょう。
どうしても急ぐ時は電子レンジでの解凍を薦めます。この場合ラップは外し表面に付いた氷をすべて取り除き解凍してください。



健康と食肉との関係

●動物性タンパク質の摂取量と寿命との相関関係
日本人の平均寿命は昭和25年頃より著しく延びてきています。その影には、私達の体の中でさまざまな役割をなしている動物性タンパク質の摂取量増加が大きな要因の1つにあると思います。それに、日本人の体位の向上にも関与しているのは現在の若者の体系を見れば一目瞭然です。

●平均寿命を延ばした結核・脳卒中の激減
戦後の復興が始まった昭和20年代の前半は食糧事情が大変悪く、当時の死亡の第一位は結核、次に肺炎、気管支炎等の感染症が占めていました。その結核も健康診断の実施・予防注射(BCG)の法的義務づけと治療薬の普及が功を奏しました。それには、動物性タンパク質の摂取増加がここでも栄養状態において大きな役割はたしております。しかし、それに変わり脳卒中が増加し始め、そのを食いとめたのが脳血管等にもタンパク質が重要なかぎを握っていたのです。
昔、穀物中心の食塩摂取量の多い生活から、動物性タンパク質をきちんと一定量をとる食生活に変わってきて、このような病気から身を守ってきたことは事実であり、それだけ食肉の大切さがわかると思います。