ミートの町”むかいの”には、食肉加工食品を中心に、さまざまな食文化があります。
111年の歴史の中で培われてきた、人々の小さな知恵の積み重ねが、この地域の食文化に豊かなオリジナリティと広がりをもたらしてきたのです。

さいぼし




馬肉の燻製のこと。

新鮮な馬肉を板状に切ってから塩をして、くぬぎの木をゆっくり燃やし,その煙でいぶしあげた通常タイプのものと、天火で干して作る〔干しさいぼし〕があります。

もともと、1897年(明治30年)頃に精肉の保存方法に苦闘した村の人々の知恵から生れた食品ですが、今では立派な”むかいの”の特産品。風味の良さと、ほどよい舌ざわり、いつまでも長持ちする保存性の良さで、お惣菜に、酒の肴にと珍重されています。



牛や馬のすじをゼラチンができるようによく炊いて作ったもの。

種類は、通常のすじのこんごりと、お正月料理として作られる「おうね(テール)」のこんごり、そして鱧(はも)の頭や皮のこんごりなどがあります。いずれも、「さいぼし」や「油かす」と同様、食材としての精肉の無駄をなくし、季節に左右されずに販売できることから、”むかいの”の食肉産業の安定と発展をもたらす要因となりました。

牛や馬や豚の腸を大きな鍋で煮詰めて油を抜き、乾燥ささせたもの。

生姜醤油や七味唐辛子をつけて食べたり、菜っ葉と一緒に炊いたり、うどんやお好み焼きに入れたりと、さまざまな味わい方で親しまれています。「さいぼし」と同様に、”むかいの”の食肉加工を発展させようとする村の人々の創意工夫から生み出された特産品の一つで、精肉の内臓を効果的に使っているのが特徴です。