穴埋め企画第X号

偶人奇遇

Painting Feather or Scale pattern(in my case)

 30mmクラスのミニチュアに付属するマントなどの面積の大きな衣服を塗る時にグラデーションだけで済ませるのは結構困難である事があります。そこで色々意匠を凝らした絵柄を書き込むという作業で解決をはかるのはままある事です。しかし、特定の意匠や人物画を入れるのはこれまた至難の業であり、お勧めできるものではありません。そこで、NMMに使われる急激なグラデーション塗装方法を応用して羽、または鱗状の模様を書き入れるという方法を私は取る事にしました。以下はそのやり方です。

 今回の記事の為、宇宙海兵隊のキャラクター作成の為に自作したマントを題材に取りました。
 使用した色は全てCitadel Coloursで、名称をそのまま使用しています。

1.Preparation

 マントの模様を塗装するに当たって、最初にしなければならないのはマント本体の塗装です。今回はPre-Horus時代のEmperor's Children Space Marineを塗る目的ですので、下地処理した後に、黒+LichePurpleからLichePurple単色を経て、WarlockPurple+BleachedBoneによるハイライトで終了しています。絵を書き入れる場合、あまりハイライトを明確にすると肝心の絵が目立たなくなる事があるので注意してください。

2.Painting

2-1 Outline

塗料の濃度目安 羽と爪

 塗装を開始するにあたり、グラデーションの第一層色を作成し塗装します。凡そChaos Black1に対してDark Flesh1の割合で塗料を混合し、塗布します。この時、塗料の濃度は最低でも水2に対して塗料1の割合に薄めます

 大体の濃度の目安は写真を参考にしてください。下が透けて見える濃度の塗料が綺麗なグラデーション形成するには必要です。塗料の層を形成するに当たり、一度に塗ろうとせず、その箇所が若干明るくなったと感じるまで重ねて塗ります。今回のデザインは羽と爪という、Emperor's Childrenのマークをモチーフにしています。デザインは余り厳密に規定せず、大まかな形を決めておく程度で良いと思います。

 

 

2-2 Layering (Feather pattern A)

@

A

B

C

 羽の層の構成を連続写真風にしてみました。

 工程@は、基本色となったChaosBlack 1 : DarkFlesh 1の混色に、少量ずつDarkFleshを混ぜて約三層塗り重ねた状態です。この時に、1mmくらいの涙の雫の形を少しずつ書き入れて、羽を形成していきます。
 工程Aでは、@にLeprousBrownを少量ずつ加えて行きます。これも約三層塗り重ねた状態です。羽を塗る場合はNMMと違い、グラデーションを然程正確、精密にする必要はありません。それでも、塗料濃度が高いと絵が綺麗に描けなくなりますから、水を適度に加えて調節してください。
 工程B更にLeprousBrownを加えながら重ね塗りして、LeprousBrown単色を重ねても違和感がないくらいまで重ね塗りが進めば、LeprousBrown単色を重ねて終了します。最後に単色で終了させるのは、それ以降の作業が中断してもすぐにそこからやり直すことが出来るからです。この時点で羽の形を完成させておきます。
 工程C羽にハイライト処理をいれます。写真は少しずつLeprousBrownにBleachedBoneを加えて約三層重ねた状態です。はみ出た場合、下地の色に使用したDarkFleshで修正します。

2-3 Layering (Feather pattern B)

D

E

F

 工程D次は羽の別のカラーパターンです。最初にDarkFleshでおおよその羽の形を整えた後、少しずつVerminBrownを加えていきます。工程E写真は三層ほど重ねてVerminBrown単色に近付いた状態です。更にFieryOrangeを加えて重ねます。工程FがFieryOrange単色を塗った状態です。食み出た部分はDarkFleshで修正しますが、この時も修正用のDarkFleshの濃度が高くならないように注意してください。一度で修正しようとすると筆ムラが出来てしまい、見苦しくなります。

G

H

 工程Gは、FieryOrangeに、少量ずつBronzedFleshを混ぜて約三層塗り重ねた状態です。これに更にBreachedBoneでハイライトを掛けたのが工程Hです。更に、一番外側にはFieryOrangeにBreachedBoneをハイライト処理として重ねています。この部分は一番羽の大きな部位ですから、失敗すればそれだけ目立つので注意してください。特にハイライト部位の食み出しは致命的です。万が一失敗した時は、DarkFleshで修正したりせず、外側の羽を食み出た分だけ大きくハイライトに使用するBreachedBoneで覆ってしまった方が良いです。勿論、その分だけバランスが悪くなるので他の羽もそれだけ大きさを増す必要が出てくるでしょう。

 これで羽は大体完成です。羽の先を鋭くすればそれだけ攻撃的な印象を与えますし、丸くすれば優しげな印象を与えます。基本的には鱗模様を描く場合も変わりませんので、各自それぞれが自分の好きな色で練習と実践を行ってください。

Painting Foot and Claw

I

J

K

 最後に、爪を塗ります。工程Iは、基本色としてChaosBlack1:ShadowGrey1の混色を使い足を塗り、工程JでShadowGrey単色を重ねた状態です。更にSpacewolvesGreyを少量ずつ加え、ハイライトとします。工程Kで光点としてSkullWhiteを入れて終了です。この足に使った色の組み合わせは私がNonMetallicMetal塗装で使用しているのと同じものです。爪はScabRed 1:BloodRed 1の混色に、ハイライトとしてBreachedBoneを加えたもので塗っています。

L

 同様の工程を繰り返して完成させたのが工程Lです。水の量や混合する塗料の微妙な変化で色調が違ったり、羽の枚数が変わっていますが、左右対称なデザインを余り気にするものでもないと思います。NMMに比べれば然程の技術力を必要としないので時間さえ掛ければ何とかなりますから、一度お試しあれ。

戻る