第一版AD&Dを遊びたい人へ〔別名混沌ルール化の薦め〕

AD&D第一版は第二版に比べると混沌の度合いが非常に高いゲームです。その理由は何か。其れは公式なルールが非常に簡単であるが故に選択ルールが要求され、DM個人の裁量で幾らでもルールの追加が可能であり、その結果テーブル毎に凄まじいまでのルールの差異が出てしまうという事が原因として挙げられます。

つまり、DM個人としてルールを明確に規定できない人間、例えば私の様な人間はどういう方向に走るかと言いますと、Dragon誌を、モジュールを買い漁り、其処から先人たちの知恵を借り、その上で気に入ったルールを採用するという遣り方を続けて行くわけです。Dragonは毎月何かしらの追加ルールが発表され、モジュールの中にも時にははっとするルールが存在します。無論此れはパワーゲーマーと呼ばれる人々〔私もパワーゲーマーの一人ですね〕の、何かしらの心の琴線を刺激する事になり、DMは強力且つゲームバランスを本人から見て崩さないルールを探し出し、プレーヤーもDMの裏を掻く為のルール研究をする事に成ります。結局は簡単なルール骨子である為にこういう遣り方を続けなければDMもプレーヤーも、ついでに言えばTSRも商売が旨くいく為にはAD&Dの存続は無かったでしょう。何せこの手のゲームはシステムが完成してしまうとそれ以上の販売上の展開が苦しくなると言う欠点をどうしようもなく持っているのですから。そこでTSRの人々はゲーム用の世界設定を作り上げ、その世界設定を売ると言う方法を生み出しました。実際この方法は功を奏し、ワールド毎にデザイナーが違う為に追加されるルールもその分増加する、と云う訳でパワーゲーマーたる我々は兎に角AD&D関連のルールを更に買い漁る事になりました。そうしている内に追加ルールの中にあって最も力ある存在、Gary・Gygax氏の発表したものが一定量溜まった結果Unearthed Arcana通称UAと云うそれらを纏めた本が出版されました。この本はAD&Dがパワーゲーマー向けのゲームである事を証明したような、今までのバランスをぶち壊すに等しい凄いパワー溢れるルール集でした。今となっては当たり前になった武器技能の専門化はこの時に発表されました。また、GreyelfやDrow、Deep-gnome、Greydwarfといった強烈この上ない種族もこの時に導入されました。結局Dragon誌掲載のこれらのルールの使う使わないはDMの裁量だったのですが公式な追加ルールとのお墨付きが出たお陰で一気に混沌化に拍車が掛かりました。無論反発する人々はTSRにも居た様で、UAが出版された直後のDragonにはUAの記事をパワーダウンさせる意見が良く寄せられていました。そしてその数年後、第二版の製作発表が為されたのはやむを得ない事だったのかもしれません。

しかし。この時代のAD&Dは正直に言って面白いんです。

継接ぎだらけのゲームであるが故に、DMの意思、ゲーム観が最大限発揮されるゲーム、それがAD&D第一版だと私は考えています。DMが好き勝手にルールを使用してOKという何とも好い加減なルールの坩堝。テーブルの違いはルールの違いであり、それを楽しめる事がこのゲームの楽しさだと私は考えています。

こんなゲームをコレクターズアイテムとして眠らせておくなどと言うのは勿体無い。使って皆混沌世界に入りましょう!!

しかし現実問題として、プレイには絶対必要なルールブックの類である

Players Handbook(通称プレハン)

Dungeon Masters Guide(通称マスター)

Monster Manual(通称MM)

の三冊に加え、
Unearthed arcana(通称UA)

Fiend Folio(通称FF或いはFiend)

Monster Manual 2(通称MM2)

の拡張ルール、更に環境決定ルールの
Dungeoneer's Survival Guide

Wilderness Survival Guide

Manual of the Plane

これ位は外せませんね。そして入手方法ですが、もはや海外通販しか妥当な値段で入手する方法はないでしょう。闇黒道を極めようと考えた奇特な方は是非どうぞ。これに、現在発売中のDragon誌の総集編Dragon Archiveは必ず購入し、そして気に入ったルールは片端から導入して行きましょう。ここからがAD&D混沌化への第1歩です。当然、プレーヤーにもルール発見を手伝わせる事は云うまでもありません。DMだけ知識があっても何の役にも立ちません。和訳などする前に、プレーヤーに原文を見せる事です。そうする事でプレーヤーにゲームを共に創って行こうとする姿勢が生まれ、未来のDMが生まれてゆくに違いありません。

ここで大切なのは自分が公式ルールを覚えた上でルールを変化させると言う事です。あくまで公式ルールの理解を踏まえなければDM同士の話の中で却って恥をかく事にもなり兼ねません。そして、「自分はxxのルールがこの様にしたほうが良いと思ってこうした」とプレーヤーに説明しましょう。そして、実際のゲームの中で活用します。自分が良かれと思ったルールの変更がえらい事になるかどうかをテストする訳です。UAの記事はDragonのルールで大方は賄えますから、それらの導入も貴方の選択次第です。ついでに言えば、何処のルールを使用したか、その所在を明らかにするのもしておいた方が良いでしょう。Dragonの記事を使用した場合はxx号のyyのルールとまで云えれば大した物です。悲しいかな、AD&DのDMは出遭う度に互いの知識量がどの程度か比べてしまう悪癖があるのでその辺の知識は必須と云えましょう。

以上の事はくれぐれも、公式ルールを読んだ上で行う様に。

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というのか進むと言うのか(笑)