スポーツ産業研究開発センター構想(案)

背景

大阪いや、日本においてスポーツ産業が軽視されている。スポーツによる市場規模は、レジャー白書によると5兆円弱であるが、これには、スポーツ用に変われたシューズやウエアはもちろん、スポーツ観戦に伴なう飲食や、交通費、宿泊代など含まれていない。実際のスポーツ産業市場規模は、今だ日本においては取りまとめられていない。実際には、10兆円〜15兆円規模のスポーツ産業市場があると思われる。

アメリカやヨーロッパでは、スポーツ産業の市場規模がまとめられており、スポーツ産業の経済面や雇用面での重要性が問われている。

各国のスポーツ産業規模の参考例

sports in the city  2001出版 より 」

つい最近までは、スポーツは、社会分析においては、軽視されている課題であると言われていたかも知れないが、現代社会においては、スポーツの意義を否定することは出来ない様である。経済の面では、スポーツは、OECD加盟国においては、GDPの3%を占めると概算されている。

「Sports Industries Federation(スポーツ産業連盟)公式サイトより」

英国では、スポーツ産業が経済行動の重要な分野として認知されている。その規模はGDPの約2%、消費者支出の約3%と考えられる。スポーツ用品市場はスポーツ関連の全消費者支出£63億の37.9%と考えられ、最も重要な品目である。スポーツウエアとフットウエアに対する支出は、2001年において£31億であると推定される。 スポーツ産業は460,000人の人々を雇用している。これは全雇用の1.7%を占め、英国経済では11番目に大きい分野である。

「Leisure Industry Research Centre (レジャー産業研究センター)」

レジャー産業は、英国で最も早く成長している産業の一つであり、全雇用の10%強、全消費支出の25%強を占めている産業である。

「Sports Marketing Quarterly  Volume6・Number4より」

 アメリカのスポーツ産業の規模は1520億ドルで、電気製品産業の1385億ドル(13位)、自動車産業の887億ドル(20位)を上回り、アメリカ国内の産業別ランキングで11位になっている。ここでのスポーツ産業は、「スポーツエンターテイメントとしてプロスポーツチームに関連するイベント、ツーリズム、メディア」「スポーツ製品としてトレードショーや商品の開発販売」「スポーツ支援組織としてプロやアマチュアチームの運営」の3つからなっており、幅広くスポーツ産業として捉えている。

大阪はスポーツと文化の街 

 今、大阪は財政危機に直面し、経済再生を目指しています。大阪の経済再生にバイオやITやベンチャーなどといわれていますが、私は大阪が得意とするものはスポーツと文化だと考えています。

一橋大学イノベーション研究所の米倉教授は、2001年7月のスポーツ産業学会基調講演で、「バイオの北海道、新素材の東北、新エネルギーの名古屋、ベンチャーの京都、環境技術の九州、エンターテイメントの大阪」と述べています。

 確かに、大阪にはバイオや医療関連会社の本社は多い。しかし、東京と大阪の両本社制をとり決裁権は東京にあり、主要な研究所も大阪にはなく地方に出てしまっているのが現実です。

 大阪は昔から文化の街としての歴史を持っています。「上方文化」が発展し、すぐれた伝統芸能や社寺や地域の祭などが数多く受け継がれています。実際、国宝・重要文化財も全国10848の内、関西には49.1%にあたる5328があり、まさしく関西は歴史文化の街といえます。 

 また、大阪は「食い倒れの街」と呼ばれ、食べるものが豊富でおいしいことでも有名です。これは、大阪が港として栄え、瀬戸内海の船の便によって、遠隔の地からの産物が運ばれてきたためといわれています。また、世界で最初のインスタントラーメン(日清食品が1958(昭和33)年に袋入りチキンラーメンを発売)、カップ入りのインスタントラーメン(日清食品が1971(昭和46)年にカップヌードルを発売)も、大阪で生まれました。まさに、食文化の街です。

 スポーツにおいては、明治36年にミズノが淀屋橋にスポーツ用品店を開業したのが、日本のスポーツ産業の始まりといわれています。日本の大手スポーツメーカーである、アシックス、デサントも大阪で育った企業です。大阪がスポーツ産業に適していた理由は、隣接する他府県がゴムや革ならびに縫製をおこなうところが多かったからといわれています。このように大阪は、スポーツ産業発祥の地という歴史的背景を持っており、他府県と協力することでスポーツ産業を発展させてきたのです。

 スポーツメーカーは、今も大阪に本社を置き、大阪を中心に活動し、大阪で世界のトップレベルのスポーツ品を研究・開発しているのです。やはり、大阪はスポーツ産業発祥の地であり、スポーツ文化の街です。

そして、今大阪にはユニバーサルスタジオ、大阪スポーツアイランドがあり、遊び文化としての要素も持っています。これらの文化とスポーツを生かすことが大切と考えます。

「大阪経済再生への提言「関西ルネサンス計画」植田真司 より」

 

スポーツ産業研究開発センターの内容

大阪に、スポーツ産業を発展させ、雇用を生み出し、世界にスポーツ情報とスポーツ用品を提供するための情報集約基地として、スポーツ産業研究開発センターを設置する。

大阪の大学の共同研究によるスポーツ産業発展のための研究開発。

スポーツ・レジャー関連部門、経営・経済部門、工学部門の共同

による研究を行う。

各分野の専門の教授と経営コンサルタント、マーケッターのもと、研究開発が行われる。

目的

スポーツ・レジャーを核とした都市を育成し、大阪を国際集客都市とする。そのために、産・官・学を取りまとめる接着剤の役割となり、スポーツ・レジャー産業研究開発のための情報を発信し、世界に通じるスポーツ・レジャーの町(スポーツ・パラダイス都市)とする。

あらゆるスポーツ関連分野の企業を巻き込み、新しいスポーツライフの提案を行うと共に、新しい産業を生み出す。

主な内容

スポーツ・レジャー関連経営コンサルティング

プロチーム及び競技場の運営コンサルティング

スポーツ・レジャー施設の運営コンサルティング

スポーツ・レジャーと都市の研究

スポーツ・レジャーと教育の研究

スポーツ・レジャーと環境の研究

スポーツ・レジャーと健康の研究

スポーツ・レジャーと施設の研究

スポーツ・レジャーと飲食の研究

スポーツ・レジャーと観光の研究

スポーツ・レジャーと用具の研究

スポーツ・レジャー調査チーム

国際的な見地で研究者はさまざま他の国の研究センターとパイプを持ち、スポーツ産業における国際比較研究を行う。研究だけではなく、産・官・学が共同で国を越えたスポーツ産業の開発を行い、実践し、フィードバックし、マネジメントサイクルを回していく。

2002年3月21日

ニーズ創造研究所 植田 真司


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