メンタルトレーニングの活用
メンタルトレーニングと聞いてあなたは何を連想するでしょうか?「スポーツ選手が競技力向上を目的に行う特別なトレーニング」と思われるのではないでしょうか。実際、メンタルトレーニングはいろいろな分野で活用されています。下記はその一例を示しています。
・スポーツ
・ダイエット
・学習
・ビジネス
・ストレスの解消
ここでは、メンタルトレーニングとはどういうものなのか?
メンタルトレーニングの基礎的なことについて説明しましょう。
スポーツの世界では、「心・技・体」という3つの言葉があります。それぞれの意味は下記のようになっています。
「技」= 「テクニック、技術をみがくこと」
「体」= 「フィジカル、体力をつくること」
「心」= 「メンタル、
精神を鍛えること」
「心」=「精神を鍛えること」の意味は、「歯を食いしばり、じっと我慢し、堪え忍ぶ」ということではありません。「どんなときでも冷静さを忘れないで、的確な判断ができ、自分のこころをコントロールできる」という意味です。これを実現するための準備がメンタルトレーニングといえます。
メンタルトレーニングは大きく分けると、二つに分けることができます。ひとつは「イメージ」すること。もうひとつは「リラックス」すること。この二つが基本になっています。
では、この二つについて説明していきましょう。
はじめに「イメージ」について説明しましょう。「イメージ」は、頭の中のスクリーンに映像を映すことです。あなたは「イメージ」ができるでしょうか? ここで、簡単なテストをしてみましょう。
『真っ赤なりんごを想像してみてください』『そして、りんごを大きくひとかぶりし、歯形の付いたりんごを想像してみてください』
どうですか、りんごの赤い色が頭の中に描けたでしょうか? りんごについた歯形が描けたでしょうか?うまく描けないようなら少しイメージ力をアップする必要があります。「イメージ」することは簡単なようで、実は結構難しいのです。イメージ力がアップすると記憶力もアップします。ちなみに、イメージすることが得意な人は「カラー」の夢や「におい」のある夢をみるそうです。あなたの夢はどうですか?
次に、「イメージ」することのメリットを述べてみましょう。
頭のなかで理想の自分を何度もイメージしていると、行動・態度・考え方が、無意識の間に自分の描いた理想に近づくといわれています。例えば、プロゴルファーになる目標があれば、「自分がプロになるまでの過程や練習風景」などなるべく具体的にイメージします。また「プロになった時の自分の日常生活や態度」などをイメージするのです。すると、日々の行動がプロにふさわしい行動に変わります。これは、「今、自分がすべきこと」や「目標達成にふさわしい行動」が明確になり、やる気がわいてくるからです。
また、メンタルトレーニングには「メンタルリハーサル」といって、これからおこるかもしれない出来事を事前に予測し、予行演習する方法があります。この方法は、突然の出来事に対する準備をすることで、不安を取り除くのに役立ちます。
たとえば、「デートの前にデートコースを頭のなかでひととおり思い浮かべ、どこのお店で食事をするのかをあらかじめ決めておく」、これはデートを成功させるためのメンタルリハーサルといえます。
次に「リラックス」について説明しましょう。
「リラックス」は緊張から逃れるための方法のひとつです。我々は緊張しているとき、普段の力が発揮できません。緊張が原因で、からだが思うように動かなかったり、冷静な判断ができなかったりするからです。なかには緊張のあまり、何度もトイレに行きたくなる人、喉の乾く人、下痢・便秘になる人、そわそわして落ち着かない人もいます。あなたは、そんな経験がないでしょうか?
しかし、まったく緊張のない状態も問題があります。スポーツの世界では、「緊張のしすぎ」も「リラックスのしすぎ」も禁物といわれています。適度の緊張があるときに最も自分の力が発揮できるといわれています。競技種目や、時と場合によって違うと思いますが一般的に、脈拍数にして毎分120〜150のときがよいとされています。とりあえず、下記のように緊張の度合いによってスポーツの種目が5段階に分けられています。
レベル5(非常に高い緊張が必要)‥‥ フットボール、重量挙げ
レベル4 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ レスリング、柔道、水泳
レベル3 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ バスケット、サッカー、体操
レベル2 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 野球、テニス
レベル1(低い緊張が必要)‥‥‥‥‥ アーチェリー、ゴルフ
その時と場所に適した緊張が必要ということです。一般的な場合として、必要以上の緊張に悩まされていることが多いようです。
では、緊張をリラックスさせるにはどうすればよいのでしょうか? 最も簡単な方法は、深呼吸をすることです。呼吸は唯一、自分の意思下でも、無意識下でもコントロールできる動作です。要するに無意識と意識のつながっている部分なのです。呼吸は「無意識と意識のかけ橋」ともいえます。意識的にゆっくりと呼吸をすることで、無意識からおこっている緊張をコントロールし取り除くことができます。だから、呼吸が大切だといわれるのです。
また、イメージを利用してリラックスする方法もあります。最も好きなもの・安心するものをイメージする方法です。例えば「宇宙のかなたできらめく夜空の星」や「はるかなる地平線からでてくる朝日」をイメージしてみてください。何か安心して心が落ち着きませんか?
イメージするとリラックスできるものを見つけてください。そして、普段からそれをイメージし、リラックスするトレーニングを続けてください。トレーニングを続けると、条件付けがおこなわれ、イメージするとすぐにリラックスできるようになります。条件付けとは、犬にベルを鳴らして食事を与えていると、食事を与えなくてもベルの音を聞いただけで唾液を出すと言うものです。
このほかにも、音楽を聴く方法、笑顔をつくる方法などいろいろあります。例えば、ある種類の音楽を聴くとアルファー波が増え、リラックスするといわれています。また、スマイル(笑顔)をつくることで、アルファー波が増えるともいわれています。スマイルは、呼吸と同じでいつでも出来ます。まずは、自分にあったの方法を見つけて、毎日トレーニングを繰り返してください。
2001/1/14
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