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大阪販売士協会 会報紙「大阪販売士」第82号より

売れない時代の感性マーケティング(1)

私は、学生時代工学部で、光や原子や分子などの量子の世界を勉強していました。光は光子という粒子の集まりで、一つ二つと数えることができるのです。質量も持っているのです。アインシュタインの特殊相対性理論にE=mc という方程式があります。Eはエネルギー、mは質量、cは光速です。これは、モノはすべてエネルギーの固まりであるということをあらわしています。このように量子の世界は不思議なことでいっぱいです。まるで、般若心経の色即是空、空即是色の世界です。そんなことで、学生時代から神秘的なことが好きで、人間の心、潜在能力にも興味を持ち、それからもう20年がたとうとしています。その間、メンタルトレーニングやカウンセリングや催眠の勉強をしました。きっと、人の心をもっと大切にする時が来る考えていました。そして今、人のこころに感動をあたえ顧客満足を達成する感性マーケティングの時代がきたと実感しています。ここでは、感性マーケティングを「大脳生理学や心理学に基づき、個々の持つ感覚、認知、情動、知性など考慮して、顧客の持つ顕在的、潜在的なニーズを探り、問題解決、夢の実現、期待と感動を通して、心からの顧客満足を達成させるもの」と定義しておきます。

一昔前は、顧客はみんなと同じモノを求める傾向があり、よい商品であれば何でも売れました。しかし、今ではみんなと違うモノを求め、よい商品でもそう簡単には売れなくなってしまいました。売れなくなった原因は、「景気低迷による買い控え」ともいわれていますが、日本には1300兆円もの預貯金があるのです。決して、「景気低迷による買い控え」だけが原因ではないと思います。顧客は必要なモノをすでに所有しており、どうしても欲しいモノがないというのが真相ではないでしょうか?いまや、顧客の求めるニーズは多様化・個性化し、従来の様な商品を従来の方法で提供しても売れない時代になってしまったのです。だからこそ、顧客の心の底にあるニーズを理解し、欲しい買いたいという気持ちになる、商品や提供方法にしなければいけません。

  商品には、顧客の心を動かす「なにか」がなければなりません。商品は、製品にパッケージやネーミング、ブランド力、アフターサービスなどの付加価値が付いたものです。この付加価値には、顧客の心を動かす「なにか」が含まれていなければいけないのです。これからは、モノの研究をする時代ではなく、顧客の心の研究をする時代です、顧客の心を動かす「なにか」を追求することで、売れるヒントが見つかるといえます。

マーケティングも大量生産時代の生産者重視の伝統的なマーケティングから、顧客重視の新しいマーケティングに変わりつつあります。マーケティングにある4Pでは、商品を求めている顧客が存在することを前提に、いかに効率よく販売するかを考えるのですが、今日では商品を求めている顧客がいないのです。このように、新しい商品を出しても顧客が欲しいといわない時代には4Pでなく、顧客が何を望んでいるのか、顧客の視点で考える4Cを使う必要があります。

4P から 4C へ

PRODUCT → CONSUMER    プロダクトから消費者視点へ  消費者志向でモノ作り

PRICE   → COST              商品価格から価値価格へ            価格は、顧客が決める

PLACE   → CONVENIENCE 流通から買いやすさへ                いつでも、どこでも、簡単に

PROMOTION → COMMUNICATION 売り手から買い手の時代へ   売り手、買い手の情報交換

この4Cを基本に、 顧客の満足とはなにか? 顧客のニーズはなにか? を真剣に考えなければいけません。すると、顧客が求めているのは商品そのものではなく、商品を持つことで問題が解決したり、夢に近づいたりと、上の目的を達成するために商品を購入していることがわかります。

売るためには、顧客が持っているさらに上の目的を見つけ出し、それを助けるためのモノ作りをすることです。そして、その商品がどのような形で顧客の目的達成に役に立てるのかを提案し、その商品を使っているところをイメージしてもらうことです。人間は、商品を理解し、何度もイメージすることで、心の抵抗がなくなり、商品に好意を持ち必要性を感じるものなのです。

これからは、顧客のニーズを見つけ、顧客の心を動かし、顧客の満足を得る心の時代です。あなたはどのようにして、顧客の心をつかみますか?

2001/1/7


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